あんまりエレベーターのことをよく知らないんだよね。
工事では、どんなことに気をつけた方がいいの?
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- エレベーター設備の基礎がわかる
- エレベーターの種類がわかる
- エレベーターの施工管理で気をつけることがわかる
私たちワット・コンサルティングは、施工管理の技術者派遣や転職サポートを行う会社です。
この記事では、エレベーターの施工管理について解説します。
エレベーターの基礎知識を知っておきましょう。
あなたの業務の参考になればうれしいです!
この記事の監修者
施工管理の技術者派遣を行う会社。これまで1500名以上の未経験者を施工管理として育成した実績あり。
- 労働者派遣事業許可番号 派13-304593
- 有料職業紹介事業許可番号 13- ユ-304267
- 特定建設業 東京都知事許可 (特-1) 第150734号
目次
エレベーターの設備
まずは、エレベーター設備の名称と役割を紹介します。
- 昇降路:カゴ室の通り道
- カゴ室:人や荷物が乗るスペース
- 制御盤:運転や速度を制御する装置
- 乗り場ドア:カゴ室に出入りするドア
- ピット:カゴ室の下から床までの空間
- 巻上機:カゴ室を上下させる電動モーター
- 調速機:カゴ室の昇降速度を調節する機械
- 釣合おもり:ロープにかかる荷重を小さくする重り
- そらせ車:カゴ室や釣合おもりの芯を合わせる綱車
- ガイドレール:カゴ室がまっすぐ上下するためのレール
- 緩衝器:カゴ室が床や天井に衝突したときの衝撃を和らげる
- 機械室:巻上機・調速機・制御盤などを設置する部屋
ちなみに「昇降路」のことを、別名「エレベーターシャフト」ともいいます。
エレベーターシャフトのポイントは下記のとおり。
- 換気を重視する
- エレベーターシャフトは容積率に参入しない
- エレベーターシャフト内の気温が上がりすぎないようにする
詳しくは、エレベーターシャフトとはエレベーターの通り道【容積率に不算入です】にまとめています。
エレベーターの種類
一口にエレベーターといっても、大きく分けると4種類あります。
- ロープ式:トラクション式・巻胴式
- 油圧式:直接式・間接式・パンタグラフ式
- 水圧式
- リニアモーター式
それぞれの特徴を解説します。
ロープ式のトラクション式
トラクション式は、巻上機と釣合おもりを使ってカゴ室を上下させる方式です。
低層~高層まで幅広く使えます。
「機械室あり」と「機械室なし」があります。
- 機械室あり:エレベーター上部に機械室を設置。制御盤・巻上機・調速機を機械室に設置
- 機械室なし:高さ制限に対応しやすい。設計しやすい(巻上機は上下どちらの設置も可)
機械室あり↓
機械室なし↓
また、釣合おもりをつける場所によって方式が違います。
- サイドカウンター式:釣合おもりをカゴ室の側面につける
- バックカウンター式:釣合おもりをカゴ室の背面につける
ロープ式の巻胴式
巻胴式はもっとも古い方式で、釣合おもりがありません。
巻胴式巻上機でロープを巻胴に巻きつけることで、カゴ室を上下できます。
ただし、ロープが長くなると巻胴が肥大化してしまうので、高層には向かないです。
油圧式
油圧式のエレベーターは、油圧シリンダーでカゴ室を上下させます。
比較的、低層に使われやすい方式です。
機械室には油圧パワーユニットを設置し、油圧配管で油圧パワーユニットとシリンダーを接続して動力を伝えます。
「直接式」「間接式」「パンタグラフ式」があり、違いは下記のとおりです。
- 直接式:かご室の下にブランジャーを設置する
- 間接式:油圧パワーユニットをカゴ室の下に設置しない
- パンタグラフ式:アームとカゴ室を上下させる
直接式↓
間接式↓
パンタグラフ式↓
ただし、どの方式でも機械室のスペースが必要です。
水圧式
水圧でカゴ室を上下させる方式です。
比較的、低層で使用されるエレベーターですね。
水を使っているため、環境にも配慮されています。
リニアモーター式
モーターの回転運動を、上下の直線運動に変換する方式です。
機械室なしでも設置できるので、限られたスペースの設置に向いています。
エレベーターの施工管理で気をつけること
結論、下記の2つに気をつけましょう。
- 昇降路内の安全管理
- 法律を遵守する
どれも基本的なことではありますが、しっかり押さえておきましょう。
1つずつ解説します。
昇降路内の安全管理
エレベーターの工事は下記のような危険をともなうため、安全管理に気をつけましょう。
- 高所作業
- 気温上昇
- 酸素濃度の低下
特に昇降路(エレベーターシャフト)内は高所があり、密閉空間なので気温上昇や酸素濃度の低下に注意が必要です。
施工管理の安全管理については、施工管理の安全管理とは現場の事故を防ぐこと【4つの安全管理がある】も参考にどうぞ。
法律を遵守する
エレベーター施工では、下記のような法律が関わってきます。
- 建築基準法
- 各地方自治体の条例
- 高齢者の居住の安定確保に関する法律
下記に該当する建物では、エレベーターの設置が義務付けられています。
- 3階建て以降のサービス付き高齢者向け住宅
- 6階建て以上の建物(ただし自治体により異なる)
- 高さ31m超の建物は非常用エレベーターの設置が義務
詳しくは、エレベーターの設置義務は法律や条例に従う【設置届についても解説】にまとめたので参考にどうぞ。
また、高さ31m以上の建物には、非常用エレベーターの設置が必要です。
非常用エレベーターの設置基準は下記のとおり。
- 高さ31m以上の建物
- 高さ31m以上の階の床面積が1500㎡以下なら1基設置する
- 高さ31m以上の階の床面積が1500㎡以上の場合は、3000㎡ごとに1基ずつ増やす
- 複数の非常用エレベーターがある場合は、間隔をあける
- 非常用エレベーターから屋外への避難口までの距離は30m以内にする
- 非常用エレベーターは耐火構造の壁や特定防火設備で囲う
- 非常用エレベーターの出入り口に傾斜を設けて、消化水の対策をする
詳しくは、非常用エレベーターの設置基準【乗降ロビーの設置基準も解説】にまとめたので、こちらも念のため知っておきましょう。
まとめ【エレベーターの基礎知識を知って施工管理に活かそう】
この記事をまとめます。
- エレベーターはロープ式、油圧式、水圧式、リニアモーター式の4種類がある
- 工事では特に安全管理に気をつける
- 昇降路内は高所作業、気温上昇、酸素濃度の低下に注意
- 建築基準法、各地方自治体の条例、高齢者の居住の安定確保に関する法律など法律を遵守する
あなたの業務の参考になればうれしいです!