戸建や集合住宅の建築設備の基礎をご紹介します。
建築物の構造が人間の体であるなら、建築設備は血管や臓器のようなものです。
建築設備が整っていなければ快適な暮らしはできません。
建築前に現地調査も大切です。
この記事では、
- 戸建住宅の設備
- 集合住宅の設備
- 建築設備のためのインフラ調査
などをご紹介します。
目次
戸建住宅の設備
戸建住宅の設備は大きく分けると、
- 電気設備
- 給排水設備
- 空調設備
の3つがあります。
ちなみに、建築基準法における建築設備は、
- 電気
- 給水
- 排水
- ガス
- 換気
- 排煙
- 暖房
- 冷房
- 消火
- 汚物処理
- 昇降機
- 避雷針
とされています。
これら設備は大きく分けると3つに分類されるということです。
電気設備とは
電気設備は大きく分けると、
- 電灯コンセント設備
- 電力引込設備
- 弱電設備
の3つがあります。
①電灯コンセント設備とは室内のコンセントや照明などです。
住んでいる人の目に入る部分です。
意匠設計とまではいきませんが、デザイン性を求められることもあるでしょう。
②電力引込設備とは、前面道路の電線から戸建に電力を引き込む設備です。
③弱電設備とは、
- 電話やFAX
- インターネット
- インターホン設備
- テレビ設備
- 火災報知器
などの弱い電力の設備です。
給排水設備とは
給排水設備は大きく分けると、
- 給水設備
- 排水設備
- 給湯設備
- ガス設備
の4つがあります。
①給水設備は上水道管から生活に必要な水を引き込む設備です。
②排水設備は使用した後の下水や、空調で使用した水や雨水を外に排出する設備です。
早急に排水することはもちろん、衛生的に排水するために通気口や排水トラップも重要な設備です。
③給湯設備はキッチン・風呂・洗面台で使用する温水を供給するための設備です。
④ガス設備は一見給排水設備と関係なさそうですが、給湯・暖房・冷房などを行うために必要です。
ガスにはLPガス(プロパンガス)と都市ガスがあります。
空調設備とは
空調設備は正式には「空気調和換気設備」といいます。
大きく分けると、
- 冷暖房設備
- 換気設備
の2つがあります。
①冷暖房設備はエアコンや床暖房設備があります。
建物内を快適な温度・湿度に保つために冷暖房設備は重要です。
②換気設備は室内に発生した汚れた空気を外に排出する設備です。
また、空気を外に排出するだけでなく新鮮な空気を室内に取り組む役割もあります。
近年は24時間換気の建物も増えています。
集合住宅の設備
集合住宅の設備機器は戸建よりも大きく、種類も多くなります。
意匠設計者ときちんと打ち合わせして、設備機器や配線・配管を収めるスペースを確保することが大切です。
また、マンションの躯体は設備よりも耐久性が高いため、後々の設備のメンテナンスがやりやすいように設計しておく必要があります。
木造戸建て住宅のように穴をあけにくいため、点検業務がやりやすいように予備スペースを設けることも大切です。
また、大規模修繕工事などの際に新しい設備を追加することも想定してスペースや施工ルートをとっておくこともお忘れなく。
近年の集合住宅設計では、躯体部分の設計と設備部分の設計を分けて設計する「スケルトンインフィル」という手法が主流です。
耐久年数が違う躯体部分と設備部分が分かれているため、メンテナンスはしやすいです。
建築設備のためのインフラ調査
建築設備ではまず、建築地のインフラ設備の調査をすることが重要です。
電気、ガス、水道のインフラを建築物に引き込むための調査です。
電力の調査
建築物の使用電力容量を決めてから電力会社に連絡しましょう。
高圧電力を受電する場合は変圧器の場所が必要です。
電話の調査
建築物で使用する電話回線を決めてから電話会社に連絡しましょう。
また、インターネット使用のために光ケーブルの引き込みの可否の調査が必要です。
ガスの調査
都市ガスの場合は前面道路の都市ガス本管の位置と口径、既存給水引込管の位置と口径を確認しましょう。
建築物のガス使用量を決めて、新設引込が必要かどうかを調査します。
前面道路からガス管の新設引込が難しい場合は、ガス会社に相談して本管延長ができるかどうか調べてください。
調査の結果、都市ガス管を引き込めない場合はLPガスを検討します。
近隣の建築物にLPガスボンベがあれば都市ガスが使えない可能性が高いです。
現地にガス会社の杭があれば都市ガスを引き込める位置がわかります。
水道の調査
水道の調査は大きく分けると、
- 上水道
- 下水道
に分かれます。
上水道
上水道は前面道路の上水道本管位置と口径、既存給水引込管位置と口径を確認しましょう。
量水器は引込位置と口径の目安になりますが、上水道台帳も確認してください。
その結果、上水道管の新設引込が必要かどうか調べましょう。
引込管口径や建築物の規模を水道局に申告して、給水方式を決定します。
また、水道負担金や加盟金も事前に確認してください。
下水道
下水道は前面道路の下水道本管位置と口径、既存公設枡位置と放流管口径を確認しましょう。
汚水や雨水の合流地域や分流地域も確認してください。
雨水の流出抑制の必要性も役所に聞いてください。
また、下水道負担金や加盟金も事前に確認が必要です。
まとめ
戸建や集合住宅の建築設備の基礎をご紹介してきました。
また、建築物を建てるときは事前のインフラ調査が必要です。
建物を使う人が過ごしやすい環境を作るためには、どの設備も欠けてはいけません。
建築設備は人の生活に必要不可欠であり、今後もなくならない仕事といえるでしょう。
建築設備の基礎の参考になればうれしいです。