階段の寸法の計算や建築基準法を解説【住宅の階段設計の注意点】

階段の寸法の計算や建築基準法を解説【住宅の階段設計の注意点】
設計士
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階段の寸法について知りたいな。

上り下りしやすい寸法の計算式や、

建築基準法の規定を知りたい。

こういった疑問に答える記事です。

この記事の内容は下記のとおり。

  • 上り下りしやすい階段の寸法の計算方法
  • 建築基準法の階段の寸法【階段と踊り場の幅・蹴上・踏面の規定】
  • 住宅の階段の寸法の注意点【住む人に合わせて設計】

上り下りしやすい階段の寸法の計算方法や建築基準法の規定を紹介します。

階段の設計を間違えると使いにくかったり、転落の危険もあります。

また、住宅の階段設計のポイントも解説するので、お仕事の参考にしてください!

SAN-SUKE

上り下りしやすい階段の寸法の計算方法

上り下りしやすい階段の寸法の計算方法

上り下りしやすい階段の寸法は、蹴上×2+踏面=60cmで覚えておきましょう。

蹴上×2+踏面=60cmが、もっともちょうど良いとされています。

例えばこんな感じ。

  • 蹴上20cm×2+踏面20cm=60cm
  • 蹴上19.5cm×2+踏面21cm=60cm
  • 蹴上18cm×2+踏面24cm=60cm
  • 蹴上15cm×2+踏面30cm=60cm

合計が60cmより小さいと、小刻みで歩きにくい階段になります。

反対に60cmより大きいと、一段が大きくなって歩きにくいです。

また、踏面を長くしすぎると、階段スペースが広く必要になってコストがかかります。

反対に蹴上を高くしすぎると、転倒のリスクがあります。

上り下りしやすい階段の寸法は、蹴上×2+踏面=60cmと覚えておきましょう。

建築基準法の階段の寸法【階段と踊り場の幅・蹴上・踏面の規定】

建築基準法の階段の寸法【階段と踊り場の幅・蹴上・踏面の規定】

出典:国土交通省「建築基準法の階段に係る基準について

階段の寸法は、建築基準法23・24・27条で決められています。

下記の表で、建築基準法の階段の寸法を紹介します。

※スマホを横にすると見やすいです。

階段の種類 階段・踊り場の幅 蹴上 踏面 踊り場位置
1 小学校の児童用 140cm以上 16cm以下 26cm以上 高さ3m以内ごと
2 中学校、高等学校、中等教育学校の生徒用劇場、映画館、公会堂、集会場等の客用物販店舗(物品加工修理業を含む)で床面積の合計が1500㎡を超える客用 140cm以上 18cm以下 26cm以上 高さ3m以内ごと
3 直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階用のもの居室の床面積の合計が100㎡を超える地階、地下工作物内のもの 120cm以上 20cm以下 24cm以上 高さ4m以内ごと
4 1〜3以外および住宅以外の階段 75cm以上 22cm以下 21cm以上 高さ4m以内ごと
5 住宅 75cm以上 23cm以下 15cm以上 高さ4m以内ごと
6 直通階段 階段の幅のみ90cm以上 1〜5の数値による 1〜5の数値による 1〜5の数値による
6 その他の階段 階段の幅のみ60cm以上 1〜5の数値による 1〜5の数値による 1〜5の数値による

屋外階段は4・5の場合、直階段でも75cm以上で良いです。

回り階段の踏面寸法は、踏面のせまい方から30cmの位置で測りましょう。

階段・踊り場の手すり階段昇降機レールなどで、高さ50cm以下のものは手摺の幅が10cmまではなしとして計算します。

ただし、昇降機の機械室の階段や、物見塔の階段や特殊な階段には適用しません。

直階段の踊り場の踊り幅は、120cm以上です。

小学校の階段の寸法

小学校の階段の寸法は、蹴上が低いのが特徴です。

小学生の足に合わせて、蹴上が高くなりすぎないように規定されています。

中学・高校・公共施設の階段の寸法

蹴上が18cm以下と決められています。

大人も子供も使うという理由からでしょう。

蹴上が高すぎず、低すぎず規定されている感じです。

直上階の居室の床面積の合計が200㎡を超える地上階用のもの

直上階とは「1つ上の階」という意味です。

1つ上の階の居室の床面積の合計が200㎡超なので、一般住宅にはあまりないですね。

オフィスビルやマンションだとあり得ます。

※1つ上の階の全体の床面積ではありません。

居室の床面積の合計が100㎡を超える地階、地下工作物内のもの

100㎡超の居室の床面積だと、該当する建築物もあるでしょう。

階段の設計を間違えないように注意してください。

住宅の階段は室内の階段に限る

住宅の階段とは、室内の階段に限ります。

例えば、戸建て住宅内の階段が該当しますね。

また、メゾネットタイプのマンションの室内の階段も該当です。

該当しないのは、マンションやアパートの外階段ですね。

屋外階段は非常階段を含む

屋外階段は、非常階段を含みます。

「直通階段」とは、簡単にいうと「外に逃れる階段」だと思ってください。

住宅の階段の寸法の注意点【住む人に合わせて設計】

住宅の階段の寸法の注意点【住む人に合わせて設計】

住宅の階段の寸法は、上記の建築基準法の規定で下記のようになっています。

  • 階段・踊り場の幅:75cm以上
  • 蹴上:23cm以下
  • 踏面:15cm以下

ただし、建築基準法のとおりに造ってしまうと、かなりきつい階段になります。

特に「踏面15cm」は、大人の足にはちょっときついですよね。

なので住宅の階段は建築基準法を守りながら、住む人に合わせて設計することが大切です。

例えば、小さい子供やお年寄りが住む家なら、下記なども良いでしょう。

  • 蹴上:15cm
  • 踏面:30cm

※先ほどの蹴上×2+踏面=60cmにもなっています。

階段スペースを広くとれない場合は、下記のような設計も良いですね。

  • 蹴上:20cm
  • 踏面:20cm

踊り場も造って、狭いスペースでも安全に上り下りできる階段にしましょう。

長く住むことも考えて、年齢を重ねても使いやすい階段にすることが大切です。

階段には滑り止めや手すりもつけると安全

滑り止めと手すりもつけると、より安全です。

階段の手すりの高さは75cmくらいが良いですね。

階段の手すりについては、階段手摺の高さは75cmくらい【設置基準やその他の手摺の高さも解説】にまとめています。

また、暗がりで階段から足を踏み外さないように、照明をつけるのも良いですね。

今は人感センサーのライトが主流です。

まとめ【階段の寸法は建築基準法を守って使いやすく】

まとめ【階段の寸法は建築基準法を守って使いやすく】

この記事をまとめます。

  • 階段の寸法の計算方法は、蹴上×2+踏面=60cm
  • 建築基準法の階段の寸法は間違えないように
  • 住宅の階段の寸法は住む人に合わせて設計する
  • 階段には滑り止めや手すりもつけると安全

あなたの階段設計の参考になればうれしいです!

ちなみに、建具の図面記号を、建具の記号の一覧を紹介【窓・扉・種類別・開閉表示などの記号】にまとめています。

あなたのお仕事の参考になれば幸いです!

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