どれくらい難しい試験なんだろう?
あと、合格するための勉強のコツも知りたいな。
こういった疑問に答える記事です。
この記事の内容は下記のとおり。
- 1級電気通信工事施工管理技士の難易度を合格率や過去問題から解説
- 1級電気通信工事施工管理技士の勉強方法【テキストと過去問題集がおすすめ】
- 1級電気通信工事施工管理技士と他の資格の難易度を比較
私たちワット・コンサルティングは、施工管理の転職サポートを行う会社です。
令和元年から「電気通信工事施工管理技士」の試験が始まりました。
5Gなどデータ通信の進化とともに、電気通信工事が増えているからです。
電気通信工事施工管理技士は、下記のような工事の施工管理業務を行います。
- モバイル通信の基地局の工事
- 大型のサーバー設置工事
- LAN工事
1級資格を取得することで、下記になることができます。
- 監理技術者
- 専任技術者
- 主任技術者
それでは、1級電気通信工事施工管理技士の難易度をみていきましょう。
目次
1級電気通信工事施工管理技士の難易度を合格率や過去問題から解説
1級電気通信工事施工管理技士の難易度を、下記の内容で分析しました。
- 合格率
- 過去問題
- 試験制度
- 受験資格
まずは難易度を把握しましょう。
合格率からみる1級電気通信工事施工管理技士の難易度
令和3年に行われた1級電気通信工事施工管理技士試験の合格率は、下記のとおりです。
- 第一次検定(学科):58.6%
- 第二次検定(実地):30.1%
参考:国土交通省「令和3年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級)「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表」
第二次検定の合格率が低くなっています。
理由はさまざまですが、1級電気通信工事施工管理技士の参考書や過去問集が少ないのが特徴。
まだ新しい資格ですし、第二次検定の過去問が少ないことから勉強しにくい試験といえるでしょう。
過去問題からみる1級電気通信工事施工管理技士の難易度
次に、過去問から1級電気通信工事施工管理技士の難易度を見てみましょう。
第一次検定(学科試験)と第二次検定(実地試験)があるので、1問ずつ過去問を紹介します。
過去問を見て「わからない…」という人は、しっかり勉強が必要です。
まずは第一次検定(学科試験)の過去問です。
第4世代移動通信システムと呼ばれる LTE に関する記述として,適当でないものはどれか。
⑴ データの変調において,FSK を採用している。
⑵ 複数のアンテナにより送受信を行う MIMO 伝送技術を採用している。
⑶ 無線アクセス方式において,上りリンクと下りリンクで異なった方式を採用している。
⑷ パケット交換でサービスすることを前提としている。
引用元:一般財団法人全国建設研修センター「令和元年度 級電気通信工事施工管理技術検定 学科試験 問題A」
続いて、第二次検定(実地試験)の過去問です。
【問題 1】 あなたが経験した電気通信工事のうちから,代表的な工事を1つ選び,次の設問1から設問3の答えを解答欄に記述しなさい。
〔注意〕 代表的な工事の工事名が工事以外でも,電気通信設備の据付調整が含まれている場合は,実務経験として認められます。
ただし,あなたが経験した工事でないことが判明した場合は失格となります。
〔設問1〕 あなたが経験した電気通信工事に関し,次の事項について記述しなさい。
〔注意〕 経験した電気通信工事は,あなたが工事請負者の技術者の場合は,あなたの所属会社が受注した工事内容について記述してください。従って,あなたの所属会社が 二次下請業者の場合は,発注者名は一次下請業者名となります。
なお,あなたの所属が発注機関の場合の発注者名は,所属機関名となります。
⑴ 工事名
⑵ 工事の内容
①発注者名
②工事場所
③工 期
④請負概算金額
⑤工事概要
⑶ 工事現場における施工管理上のあなたの立場又は役割
〔設問2〕 上記工事を施工することにあたり工程管理上,あなたが特に重要と考えた事項をあ げ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。
〔設問3〕 上記工事を施工することにあたり品質管理上,あなたが特に重要と考えた事項をあ げ,それについてとった措置又は対策を簡潔に記述しなさい。
引用元:一般財団法人全国建設研修センター「令和元年度 級電気通信工事施工管理技術検定 実地試験問題」
1級電気通信工事施工管理技士の試験の特徴
試験は下記の2つです。
第一次検定(学科) | 第二次検定(実地) | |
試験問題 | 電気通信工学等・施工管理法・法規 | 施工管理法 |
解答方式 | 4つから1つを選ぶマークシート方式 | 記述式問題 |
合格基準 | 60%以上の正答 | 60%以上の正答 |
第一次検定はAとBに分かれており、全90問があります。
ただし、90問すべてを解くわけではなく、選択問題になっています。
選択問題なので、得意ジャンルを選べる点では難易度は低め。
※でも、勉強しないで合格できるほど甘い試験ではありません。
問題Aの選択問題は下記のとおり。
- 1~16問目のうち11問に解答
- 17~44問目のうち14問に解答
- 45~58問目のうち8問に解答
- 58問中33問に解答
問題Bの選択問題は下記のとおり。
- 1~2問目はすべて解答
- 3~10問目のうち、5問に解答
- 11~27問目のうち、15問に解答
- 28〜32問目はすべて解答
- 32問中27問に解答
ちなみに、第二次検定はすべての問題に解答する必要があります。
1級電気通信工事施工管理技士の難関は実地試験の経験記述
難関と言われているのが、第二次検定の経験記述問題です。
簡単にいうと、あなたの今までの実務経験から記述式で解答する問題です。
経験記述の問題は「簡潔に記述しなさい」という指示なので、長文で書くのはNG。
文量でいうと、2~3文でOKなので、簡潔に書きましょう。
ちなみに、資格スクールなどが電気通信工事施工管理技士の講習会を開催しています。
講習会に参加すると経験記述問題の例文をもらえることがあるので、不安な人は参加しておきましょう。
1級電気通信工事施工管理技士は年1回しかない
1級電気通信工事施工管理技士の試験は、年1回しかありません。
つまり、チャンスは少なめ。
2級試験は年2回なのに、1級は厳しいですね。
ちなみに、下記の場合は以後の第一次検定が免除されます。
- 第一次検定:合格
- 第二次検定:不合格
第一次検定に合格すると「技士補」という資格が与えられ、以後は第二次検定のみに合格すれば1級電気通信工事施工管理技士を取得できます。
受験資格からみる1級電気通信工事施工管理技士の難易度
1級電気通信工事施工管理技士には、受験資格が設けられています。
誰でも受けられる試験ではない点でいうと、難易度が高い試験ですね。
1級電気通信工事施工管理技士の第一次検定試験の受験資格は下記の表のとおりです。
※スマホを横にすると見やすいです。
最終学歴or資格 | 電気通信工事の実務経験年数 | ||
指定学科 | 指定学科以外 | ||
大卒、専門卒(高度専門士) | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 | |
短大卒、高専卒、専門卒(専門士) | 卒業後5年以上 | 卒業後7年6ヶ月以上 | |
高卒、中等教育学校卒、専門卒(高度専門士・専門士以外) | 卒業後10年以上 | 卒業後11年6ヶ月以上 | |
その他 | 15年以上 | ||
電気主任技術者 | 6年以上 | ||
高卒、中等教育学校卒、専門卒(高度専門士・専門士以外) | 卒業後8年以上の実務経験に1年以上の指導監督的実務経験を含み、かつ、5年以上の実務経験後に専任の監理技術者に2年以上の指導を受けている者 | – | |
専任の主任技術者の実務経験1年以上 | 高卒、中等教育学校卒、専門卒(高度専門士・専門士以外) | 卒業後8年以上 | 卒業後9年6ヶ月以上 |
その他 | 13年以上 | ||
2級の実地試験に合格した人 |
続いて、第二次検定試験の受験資格は下記のとおり。
最終学歴or資格 | 電気通信工事の実務経験年数 | ||
指定学科 | 指定学科以外 | ||
2級の実地試験に合格後3年以上 | 合格後1年以上の指導監督的実務経験および専任の監理技術者に2年以上の指導を受けた実務経験が3年以上 | ||
2級の実地試験に合格後5年以上 | 合格後5年以上 | ||
2級の実地試験に合格後5年未満 | 高卒、中等教育学校卒、専門卒(高度専門士・専門士以外) | 卒業後9年以上 | 卒業後10年6ヶ月以上 |
その他 | 14年以上 | ||
専任の主任技術者の実務経験が1年以上の2級の実地試験合格者 | 合格後3年以上 | 合格後1年以上、専任の主任技術者実務経験を含む3年以上 | |
合格後3年未満の短大卒、高専卒、専門卒(専門士) | – | 卒業後7年以上 | |
合格後3年未満の高卒、中等教育学校卒、専門卒(高度専門士・専門士以外) | 卒業後7年以上 | 卒業後8年6ヶ月以上 | |
合格後3年未満のその他 | 12年以上 |
1級電気通信工事施工管理技士の試験時期・合格発表など
1級電気通信工事施工管理技士の、その他の試験情報は下記のとおり。
第一次検定 | 時期 |
願書申込 | 5月 |
試験 | 9月 |
合格発表 | 10月 |
第二次検定 | 時期 |
願書申込 | 5月 |
試験 | 12月 |
合格発表 | 3月 |
また、試験会場は第一次検定と第二次検定で若干違います。
- 第一次検定:札幌・仙台・東京・新潟・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本・那覇
- 第二次検定:札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇
ちなみに、受験料は第一次検定も第二次検定も13000円です。
なので、両方受験すると26000円かかります。
1級電気通信工事施工管理技士の勉強方法【テキストと過去問題集がおすすめ】
1級電気通信工事施工管理技士の勉強方法は、下記の2つがおすすめです。
- テキスト
- 過去問題集
まずはテキストで基礎を勉強して、あとはひたすら過去問題集をやりこんでください。
まだ試験自体の回数が少ないので過去問は少ないですが、傾向はわかるはずです。
おすすめのテキストと過去問題集は、下記の2冊です。
具体的な勉強方法【暗記→技術系→実地対策】
まずは法規など、暗記系の問題から固めていきましょう。
暗記系は点数の土台になるので。
暗記系を勉強したら、技術系の勉強に移っていきましょう。
第一次検定と第二次検定は間があるので、第一次検定に受かってから第二次検定の勉強を始めるのでOK。
難関の経験記述は、いくつか文章のパターン・型を作っておくと楽です。
試験本番で文章のパターンがないと、経験記述で時間をとられて他の問題に影響がでます。
前述のとおり、資格スクールなどの講習会に参加すると、経験記述問題の例文をもらえるので役に立ちます。
1級電気通信工事施工管理技士と他の資格の難易度を比較
参考までに、他の電気系資格との試験の難易度を比較してみました。
受験する順番などの参考にしてください。
1級電気工事施工管理技士の方が合格率が高い
1級電気通信工事施工管理技士と1級電気工事施工管理技士の合格率を比較すると、下記のとおり。
第一次検定の合格率 | 第二次検定の合格率 | |
1級電気通信工事施工管理技士 | 58.6% | 30.1% |
1級電気工事施工管理技士 | 53.3% | 58.8% |
合格率は、1級電気工事施工管理技士の方が高いです。
おそらく、1級電気通信工事施工管理技士はまだ過去問対策をしにくいことが原因でしょう。
ちなみに、1級電気工事施工管理技士については、1級電気工事施工管理技士の合格率や難易度!効率的な勉強方法にまとめています。
第一種電気工事士の方が合格率は高め
1級電気通信工事施工管理技士と第一種電気工事士の合格率を比較すると、下記のとおり。
第一次(筆記)の合格率 | 第二次(技能)の合格率 | |
1級電気通信工事施工管理技士 | 58.6% | 30.1% |
第一種電気工事士 | 53.5% | 67% |
合格率だけでみると、第一種電気工事士の方が高いです。
※工事と施工管理なので、ジャンルは違いますが。
ちなみに第一種電気工事士については、電気工事士1種2種の資格難易度や合格率!勉強や技能試験のコツにまとめています。
電気通信主任技術者よりは簡単
1級電気通信工事施工管理技士と電気通信主任技術者の合格率を比較すると、下記のとおり。
第一次(伝送交換)の合格率 | 第二次(線路)の合格率 | |
1級電気通信工事施工管理技士 | 58.6% | 30.1% |
電気通信主任技術者 | 32.8% | 45.1% |
合格率だけでみると、1級電気通信工事施工管理技士の方が高いです。
似ている資格なので、電気通信工事施工管理技士を目指すのも良いでしょう。
ちなみに電気通信主任技術者については、電気通信主任技術者の難易度を合格率や過去問から解説【免除あり】にまとめています。
まとめ【1級電気通信工事施工管理技士はきちんと勉強すれば合格できるレベル】
この記事をまとめます。
- 1級の合格率は第一次58.6%、第二次検定30.1%なので、そこまで難しくない
- 第二次検定の経験記述が難関
- 試験勉強はテキストと過去問題集でOK
- 勉強手順は暗記系→技術系→第二次でOK
- 電気通信主任技術者と比較すると合格率は高め
あなたの試験勉強の参考になればうれしいです。
本気で合格したいなら、さっそく勉強を始めましょう。
試験は1点が合否を左右するし、1日でも早く勉強を始めた方が合格する確率が上がるから。
不合格になると、また1年も勉強のやり直しになって辛いですよ。
本気で勉強して、一発合格を目指しましょう。
念のため2級電気通信工事施工管理技士の記事も紹介しておきますね。
>>2級電気通信工事施工管理技士の難易度を過去問や合格率から分析
2級を検討している人は読んでみてください。
あなたのキャリアアップの参考になればうれしいです!