電気通信主任技術者と工事担任者の違い【目的別のおすすめ資格】

電気通信主任技術者と工事担任者の違い【目的別のおすすめ資格】
考える男性
考える男性
電気通信主任技術者と工事担任者って何が違うの?

資格を取りたいんだけど、2つの違いがよくワカラナイ…

僕はどの資格をとればいいんだろう?

こういった疑問に答える記事です。

この記事でわかることは下記のとおり。

  • 電気通信主任技術者と工事担任者の違い
  • 目的によって取得する資格を選ぼう

私たちワット・コンサルティングは、施工管理の転職サポートを行う会社です。

電気通信主任技術者と工事担任者って、違いがわかりにくいですよね。

細かい違いをまとめたので参考にしてみてください。

また、やみくもに資格を取るのではなく、目的に合わせて資格を取得しましょう。

目的別のおすすめ資格もまとめたので、今後のキャリアアップの参考にしてみてください!

電気通信主任技術者と工事担任者の違い

電気通信主任技術者と工事担任者の違い

下記の項目で、電気通信主任技術者と工事担任者の違いを解説します。

  • 仕事内容
  • 資格の種類
  • 合格率や難易度
  • 試験問題
  • 免除制度
  • 主任技術者になる要件
  • 試験問題
  • 試験地
  • 受験料

けっこう違うので、チェックしておきましょう。

※詳しくは、一般財団法人日本データ通信協会のサイトを確認してみてください。

仕事内容の違い

電気通信主任技術者と工事担任者の違い

上の画像のとおり、電気通信主任技術者と工事担任者は工事範囲が違います。

電気通信主任技術者
  • 通信事業者の設備と建物にインターネットを引く設備の工事(電線やONUを含む)
  • 主に監督業務を行う
工事担任者
  • 屋内のインターネット設備の工事(ルーター、電話機など)
  • 実際にお客様の室内に入り工事する
  • 監督業務も行うが工事がメイン

通信事業者とは、NTT・KDDI・Softbankなどのことです。

また、ONUとは「Optical Network Unit」の略で、光回線の終端装置のことです。

電気通信主任技術者と工事担任者は、工事範囲や仕事内容がけっこう違います。

資格の種類

電気通信主任技術者は下記の2種類があります。

  • 伝送交換:電気通信事業の伝送交換設備などの工事や維持・運用
  • 線路:電気通信事業の線路設備などの工事や維持・運用

一方、工事担任者は下記の種類があります。

※令和3年度から資格の種類が変わりました。

以前 現行
AI・DD総合種 総合通信
AI第1種 第1級アナログ通信
AI第2種 廃止(令和3年度から3年だけ試験実施)
AI第3種 第2級アナログ通信
DD第1種 第1級デジタル通信
DD第2種 廃止(令和3年度から3年だけ試験実施)
DD第3種 第2級デジタル通信

工事担任者を大きく分けると「アナログ通信(ISDN含む)」と「デジタル通信(ADSL・光回線)」があります。

「総合通信」はアナログとデジタルを両方扱える資格です。

アナログ通信は減少しているため、デジタル通信を受験する人が多いです。

合格率や難易度

電気通信主任技術者と工事担任者の「年度ごとの平均合格率」を紹介します。

まず、電気通信主任技術者の平均合格率は下記のとおり。

年度 合格率
令和元年 26.95%
令和2年 28.9%
令和3年 43.6%
令和4年 29.7%

伝送交換と線路の平均合格率は下記です。

年度 伝送交換の合格率 線路の合格率
令和元年 26.65% 27.8%
令和2年 29.5% 27%
令和3年 39.2% 53.2%
令和4年 23.9% 43.2%

続いて、工事担任者の平均合格率は下記です。

年度 合格率
令和元年 35.25%
令和2年 37.6%
令和3年 41.2%
令和4年 30.9%

そして、工事担任者の各資格ごとの平均合格率は下記です。

※令和3年より資格の種類が変更されたため、令和3年度以降の合格率をまとめています。

令和3年 令和4年
第1級アナログ通信 37.1% 34.1%
第2級アナログ通信 71.25% 100%
第1級デジタル通信 29.35% 32.3%
第2級デジタル通信 72.85% 100%
総合通信 29.7% 28.6%
AI第2種 22.9% 33.3%
DD第2種 18.55% 15.7%

参考・出典:一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター

全体的にみると、工事担任者の方が合格率が高めです。

もちろんご自身の経験などにも左右されますが、合格率だけみると電気通信主任技術者の方が難易度は高いようです。

試験問題の違い

電気通信主任技術者の出題範囲は下記です。

  • 電気通信システム
  • 伝送交換設備及び設備管理(伝送交換主任技術者のみ)
  • 線路設備及び設備管理(線路主任技術者のみ)
  • 法規

試験方式はマークシートです。

一方、工事担任者の試験範囲は下記のとおり。

  • 基礎:電気通信技術の基礎
  • 技術:端末設備の接続のための技術及び理論
  • 法規:端末設備の接続に関する法規

試験方式は定期試験(マークシート)とCBT方式(コンピュータ受験)があります。

  • 定期試験:第1級アナログ通信、第1級デジタル通信、総合通信、AI第2種・DD第2種
  • CBT方式:第2級アナログ通信、第2級デジタル通信

電気通信主任技術者・工事担任者の免除制度

電気通信主任技術者か工事担任者を取得していると、下記のような免除制度があります。

  • 工事担任者の総合通信(旧AI・DD総合種)、第1級アナログ通信(旧AI第1種)、第1級デジタル通信(旧DD第1種)を取得していると、電気通信主任技術者の電気通信システム科目が免除
  • 電気通信主任技術者を取得していると、工事担任者の基礎と法規の科目が免除

「どちらを先に取得した方がいいか?」は、そこまで重要ではないと思われます。

双方に免除制度があるため、一方を取得しておいて損はないかと。

あなたの業務に役立つ方から取得するのがおすすめです。

主任技術者になる要件

電気通信主任技術者も工事担任者も、主任技術者になることができます。

主任技術者とは、特定建設業未満(下請に出す工事の総額が4500万円未満、建築一式工事の総額が7000万円未満の工事)の一般建設業を監督する資格者のことです。

主任技術者になる要件は下記のとおり。

  • 電気通信主任技術者:資格取得後に5年以上の実務経験
  • 工事担任者:総合通信、第1級アナログ通信、第1級デジタル通信を取得後に3年以上の実務経験(旧制度のAI・DD総合種、AI第1種、DD第1種ではNG)

主任技術者になれる年数は、工事担任者の方が短いです。

試験時期

電気通信主任技術者の試験時期は、1月と7月です。

一方、工事担任者の試験時期は下記のとおり。

  • 定期試験:5月・11月
  • CBT方式:通年実施

前述のとおり、工事担任者の第2級アナログ通信と第2級デジタル通信はCBT方式で受験できるので、ある程度勉強したらすぐに挑戦してみましょう。

試験地

電気通信主任技術者の試験地は、札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、那覇の15ヶ所です。

一方、工事担任者の試験地は下記のとおり。

  • 定期試験:札幌、青森、仙台、水戸、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、鹿児島、那覇
  • CBT方式:47都道府県、約300ヶ所で開催

くりかえしですが、工事担任者のCBT試験は受験しやすいですね。

出典:一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター

受験料

電気通信主任技術者の受験料は下記のとおりです。

  • 全科目受験:18700円
  • 2科目受験:18000円
  • 1科目受験:17300円

一方、工事担任者の受験料は8700円です。

受験料は電気通信主任技術者の方が高いです。

受験資格はどちらも一緒【誰でも受験できる】

ちなみに、電気通信主任技術者も工事担任者も、特に受験資格はありません。

誰でも受験できるので、ぜひ挑戦してみましょう。

年収の相場もおおよそ同じ

電気通信主任技術者と工事担任者の年収データがないためあくまで目安ですが、どちらも年収300~450万円が相場です。

ただ、電気通信主任技術者の方が監督業務であり管轄範囲が広いことが多いため、年収は少し高くなりやすいです。

また、他の資格も保有しており、大手で働く人はさらに年収が高い傾向です。

勉強方法もほとんど一緒

電気通信主任技術者も工事担任者も勉強方法はほとんど一緒です。

代表的な勉強の手順は下記のとおり。

  1. テキスト(参考書)をざっと読む
  2. 過去問を解く(できれば5年分を5周くらい)

ちなみに、電気通信主任技術者でおすすめの本は下記などがあります。

一方、工事担任者でおすすめの本は下記などです。

目的別によって取得する資格を選ぼう

目的別によって取得する資格を選ぼう

考える男性
考える男性
違いはわかったけど、僕はどっちを取得すればいいのかな?

結論、目的によって取得する資格は違います。

具体的には下記のとおり。

  • 工事担任者:お客様の室内でインターネット環境を工事したい
  • 電気通信主任技術者:電気通信事業者の設備を工事したい、監督業務をやりたい

あなたの仕事に役立つ方から取得してみましょう。

工事担任者と電気通信主任技術者を取得するコツは、下記の記事にまとめています。

電気通信工事施工管理技士もおすすめ

ちなみに、電気通信設備の資格なら「電気通信工事施工管理技士」もおすすめです。

電気通信主任技術者・工事担任者との違いは下記のとおり。

  • 電気通信設備の施工管理ができる
  • 電気通信設備工事の監理技術者(1級のみ)になれる

1級電気通信工事施工管理技士を取得すれば監理技術者になれるため、大規模な電気設備工事の現場を任せてもらえます。

※監理技術者:特定建設業(下請に出す工事の総額が4500万円以上、建築一式工事の総額が7000万円以上の工事)を担当できる

大手に転職しやすくなり、年収も高いです。

ただし、電気通信工事施工管理技士には受験資格があるので、まずはあなたが受験資格を満たしているかチェックしましょう。

詳しくは、下記の記事にまとめています。

電気通信工事施工管理技士が工事担任者を受験するときの免除科目

電気通信工事施工管理技士を取得していると、工事担任者を受験するとき、基礎科目が免除されます。(AI第2種・DD第2種を除く)

あまりないケースかもしれませんが、電気通信工事施工管理技士を取得してから工事担任者の受験はハードルが下がります。

まとめ【電気通信主任技術者と工事担任者の違いを知って資格を取得しよう】

まとめ【電気通信主任技術者と工事担任者の違いを知って資格を取得しよう】

電気通信主任技術者と工事担任者は似ていますが、細かく見ていくとけっこう違います。

最後にもう一度、目的別のおすすめ資格をまとめておきますね。

  • 工事担任者:お客様の室内でインターネット環境を工事したい
  • 電気通信主任技術者:電気通信事業者の設備を工事したい、監督業務をやりたい
  • 電気通信工事施工管理技士:電気通信設備工事の監理技術者になりたい

あなたのキャリアに必要な資格を取得していきましょう。

電気通信工事施工管理技士については、下記の記事を参考にどうぞ。

あなたのキャリアアップの参考になればうれしいです!

SAN-SUKE

関連記事

  1. 建築設備検査員の難易度【合格率は高い。講習と過去問で合格しよう】

    建築設備検査員の難易度【合格率は高い。講習と過去問で合格しよう】

  2. 電気通信工事の資格7選と難易度【未経験で転職する手順3ステップ】

    電気通信工事の資格7選と難易度【未経験で転職する手順3ステップ】

  3. 浄化槽

    浄化槽管理士の合格率からみる難易度【勉強方法も解説】

  4. 電球

    電気工事施工管理技士の年収|1級と2級の違いや給料を上げる3つの方法

  5. 電気通信工事の主任技術者と 監理技術者になれる資格一覧

    電気通信工事の主任技術者と監理技術者になれる資格一覧

  6. 電球

    電気主任技術者・電験試験の難易度や年収!三種二種一種のコツ

施工管理の優良求人を見る

定着率83.2%の施工管理求人を見る

  1. 電気工事士の見習いがきついと言われる5つの理由|魅力も解説

    電気工事士の見習いがきついと言われる5つの理由|魅…

  2. 配管工に向いている人の特徴7選|きついと言われる3つの理由も解説

    配管工に向いている人の特徴7選|きついと言われる3…

  3. 上下水道部門の技術士とは|取得するメリットや試験の難易度も紹介

    上下水道部門の技術士とは|取得するメリットや試験…

  4. 電験3種のおすすめアプリ7選|参考書+過去問題集+YouTubeも紹介

    電験3種のおすすめアプリ7選|参考書+過去問題集+Y…

  5. 上下水道工事の資格一覧7選と試験の難易度|実務経験なしで受験できる資格アリ

    上下水道工事の資格一覧7選と試験の難易度|実務経験…

  1. 電球

    2級電気工事施工管理技士の合格率から見る難易度!勉…

  2. 検査する人

    建築設備の定期報告の対象の建物や検査内容

  3. 高層ビル

    建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の合格率や難…

  4. 管工事

    2級管工事施工管理技士の合格率から見る難易度!勉強…

  5. 修理

    電気設備は法定点検や安全点検の義務がある!有効な…

  1. ライト

    よく使う電気設備の図面記号186選

  2. ボイラー

    ボイラー技士二級・一級・特級試験の難易度や合格率

  3. 空調点検

    空調設備の資格や難易度

  4. 電球

    電気主任技術者・電験試験の難易度や年収!三種二種…

施工管理に役立つメルマガ

建設業界×ミドル層の転職サイト

建設業界で働く人におすすめのサイト