電気通信の工事担任者の難易度を合格率などから解説【効率的な勉強法】

工事担任者の難易度を合格率や過去問から解説
考える男性
考える男性
工事担任者試験の難易度を知りたいな。

けっこう難しい試験なのかな?

あと、効率的な勉強方法も知りたいな。

こういった疑問に答える記事です。

この記事の内容は下記のとおり。

  • 工事担任者の難易度を合格率などから解説
  • 工事担任者の勉強法【おすすめのテキスト・参考書・過去問題集も紹介】
  • 工事担任者と他の電気通信系の資格と難易度を比較

工事担任者の難易度を解説する記事です。

工事担任者は、電気通信工事に関する国家資格です。

資格を取得すると、下記などを行うことができます。

  • 工事の実施・実地の監督
  • 端末設備の機能確認試験
  • 端末をネットワークに接続する時の技術基準適合性の確認

転職も有利になるので、取得しておきましょう。

工事担当者の難易度や勉強方法を紹介します。

目次

工事担任者の難易度を合格率などから解説

工事担任者の難易度を合格率や過去問から解説

工事担任者の難易度を、下記の点で解説します。

  • 合格率
  • 合格基準
  • 免除制度
  • 受験資格

まずは、どれくらい難しい試験なのか知りましょう。

工事担任者試験の難易度を合格率から調べてみた【難易度の順番もあり】

工事担任者の合格率から難易度を見てみましょう。

ちなみに工事担任者試験には、下記の5種類があります。

  1. 総合通信(旧AI・DD総合種)
  2. 第1級アナログ通信(旧AI一種)
  3. 第2級アナログ通信(旧AI三種)
  4. 第1級デジタル通信(旧DD一種)
  5. 第2級デジタル通信(旧DD三種)

令和3年度から資格の改定があり、旧名称がなくなったり、AI第二種とDD第二種は廃止されました。

※AI第二種とDD第二種は、令和3年度から3年間だけ試験が実施されます。

ちなみに、AIとDDの違いは下記のとおり。

  • AI:アナログ回線・ISDN回線
  • DD:ADSL・光回線

AIはアナログ通信なので受験者少ないです。

※ISDNは2024年にはサービスが終了します。

事実、AI試験は過去問からの出題が多く、あまり新しい内容が盛り込まれません。

今はデジタル通信が主流なので、DD試験の受験者が多いです。

それでは、各試験ごとの合格率を紹介します。

※前述のとおり令和3年度から資格や試験の内容が改定されたため、令和3年以降の合格率をまとめました。

出典:一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター「①工事担任者定期試験の実施結果:試験種別毎推移表

総合通信の合格率【最高の難易度】

総合通信の合格率の推移は、下記のとおり。

試験時期 合格率 受験者数
令和3年度第1回 30.9% 3552
令和3年度第2回 28.5% 3542
令和4年度第1回 28.6% 2856

工事担任者の5種類の試験で、最難関試験です。

AIとDD両方の知識が必要だからです。

最難関ですが、合格すると転職にはかなり有利です。

第1級アナログ通信の合格率

続いて、第1級アナログ通信の合格率の推移は、下記のとおりです。

試験時期 合格率 受験者数
令和3年度第1回 38.7% 675
令和3年度第2回 35.5% 588
令和4年度第1回 34.1% 449

総合通信と比較すると合格率は上がりますが、難しい試験であることには変わりません。

※前述のとおり、アナログ通信であるため受験者数が少ないです。

第2級アナログ通信の合格率【工事担任者の中では難易度低め】

続いて、第2級アナログ通信の合格率の推移は、下記のとおりです。

試験時期 合格率 受験者数
令和3年度第1回 42.5% 1726
令和3年度第2回 100% 21
令和3年度CBT方式 42.9% 1149
令和4年度第1回 100% 21

※令和3年度第2回と令和4年度第1回の合格率が100%になっていますが、これは全科目免除申請者とCBT方式(コンピュータによる受験)を受けられない人のデータのため高めです。

第2級アナログ通信は合格率が高くなるので、試験の難易度は下がります。

アナログ通信を受験する人は、第2級から受験するのも良いでしょう。

第1級デジタル通信の合格率【難易度高め】

続いて、第1級デジタル通信の合格率の推移は、下記のとおりです。

試験時期 合格率 受験者数
令和3年度第1回 27.5% 1917
令和3年度第2回 31.2% 1946
令和4年度第1回 32.3% 1419

第1級デジタル通信の合格率は低めです。

3人に1人しか合格しないイメージ。

しっかり勉強しないと合格できない難関試験です。

第2級デジタル通信の合格率【工事担任者の中では難易度低め】

続いて、第2級デジタル通信の合格率の推移は、下記のとおりです。

試験時期 合格率 受験者数
令和3年度第1回 50% 4174
令和3年度第2回 95.7% 69
令和3年度CBT方式 58.6% 3406
令和4年度第1回 100% 48

※令和3年度第2回と令和4年度第1回の合格率が高くなっていますが、これは全科目免除申請者とCBT方式(コンピュータによる受験)を受けられない人のデータのためです。

第2級デジタル通信はかなり合格率が上がります。

難易度は低めと言えるでしょう。

受験者数も一番多く、最初に受験するのがおすすめです。

AI二種の合格率の推移【受ける人が少ない】

前述のとおりAI第二種は廃止されましたが、令和3年度から3年間だけ試験が実施されます。

AI二種の近年の合格率の推移は、下記のとおりです。

試験時期 合格率 受験者数
令和元年度第1回 27.4% 241
令和元年度第2回 31.5% 200
令和2年度第2回 18.7% 193
令和3年度第1回 26.4% 106
令和3年度第2回 19.4% 124
令和4年度第1回 33.3% 39

受験者数が少ないため、市販のテキストも少なく、勉強しにくいところがあります。

DD二種の合格率の推移【受ける人が少ない】

前述のとおりDD第二種も廃止されましたが、令和3年度から3年間だけ試験が実施されます。

続いて、DD二種の近年の合格率の推移は、下記のとおりです。

試験時期 合格率 受験者数
令和元年度第1回 18.3% 191
令和元年度第2回 18.7% 214
令和2年度第2回 16.9% 219
令和3年度第1回 26.6% 124
令和3年度第2回 10.5% 229
令和4年度第1回 15.7% 102

こちらも受験者数が少ないため、市販のテキストも少なく、勉強しにくいところがあります。

工事担任者の試験問題からみる難易度

工事担任者の試験問題は、大きく分けて下記の3科目があります。

  1. 電気通信技術の基礎
  2. 端末設備の接続のための技術・理論
  3. 端末設備の接続に関する法規

正直、一番難易度が高いのは「端末設備の接続のための技術・理論」です。

理由は、出題範囲が広いから。

勉強するときも「端末設備の接続のための技術・理論」に、一番時間を割いてください。

ちなみに、すべてマークシート方式です。

記述式の問題はないので、この点は難易度が低めの試験と言えるでしょう。

工事担任者の合格基準からみる難易度

工事担任者は、100点満点中60点以上で合格です。

40%は間違えていい点でいうと、少々やさしめの試験です。

ただし、前述の3科目それぞれで60点以上が必要です。

  • 電気通信技術の基礎:60点以上
  • 端末設備の接続のための技術・理論:60点以上
  • 端末設備の接続に関する法規:60点以上

1つでも60点を下回ると不合格です。

つまり、まんべんなく勉強する必要あり。

苦手分野を飛ばせない点では、難易度が高いと言えますね。

工事担任者試験の科目免除からみる難易度

工事担任者試験には、科目免除の精度があります。

  1. 電気通信技術の基礎
  2. 端末設備の接続のための技術・理論
  3. 端末設備の接続に関する法規

の3科目で60点以上で合格した科目は、3年間試験が免除されます。

免除制度が3年も続く点では、難易度が低い試験と言えますね。

具体的な戦略としては、下記などがあります。

  1. まず基礎と法規を合格してしまう
  2. 翌年に難関の技術・法規に集中する

総合通信、第1級アナログ通信、第1級デジタル通信では下記の資格をもっていると、科目が免除されます。

資格名 免除科目
電気通信主任技術者 基礎・法規
第1級・第2級陸上無線技術士 基礎
第1級・第2級総合無線通信士 基礎
第1級・第2級海上無線通信士 基礎
電気通信工事施工管理技士 基礎

また、第2級アナログ通信、第2級デジタル通信では、下記の資格をもっていると、科目が免除されます。

資格名 免除科目
電気通信主任技術者 基礎・法規
第1級・第2級陸上無線技術士 基礎
第1級・第2級・第3級総合無線通信士 基礎
第1級・第2級海上無線通信士 基礎
電気通信工事施工管理技士 基礎

他にも実務経験などによる細かい免除制度もあるので、詳しくは一般財団法人日本データ通信協会のホームページを見てみてください。

受験資格からみる難易度

工事担任者試験は、特に受験資格が設けられていません。

つまり、誰でも受験できます。

いきなり総合通信から受験することも可能です。

※難易度はかなり高いですが。

誰でも受験できる点で、受験資格からみる難易度は低めです。

工事担任者の試験の概要【申し込み方法や試験会場】

工事担任者の試験概要を紹介します。

試験方式 定期試験:マークシート方式。総合通信、第1級アナログ通信、第1級デジタル通信、AI第二種、DD第二種CBT方式:コンピュータによる受験。第2級アナログ通信、第2級デジタル通信
願書申込 定期試験:第1回は2月・第2回は8月CBT方式:通年申請可能
試験時期 定期試験:5月・11月CBT方式:通年実施
合格発表 定期試験:6月・12月CBT方式:試験日の翌月10日
申込方法 インターネット申込
受験料 8700円※全科目免除者は5600円
試験会場
  • 定期試験:札幌、青森、仙台、水戸、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、熊本、鹿児島、那覇
  • CBT方式:47都道府県、約300ヶ所で開催

出典:一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター

ちなみに、3科目の試験時間は下記のとおり。

  • 電気通信技術の基礎:40分
  • 端末設備の接続のための技術・理論:40分(総合通信のみ80分)
  • 端末設備の接続に関する法規:40分

工事担任者の勉強法【おすすめのテキスト・参考書・過去問題集も紹介】

工事担任者の勉強法【おすすめのテキスト・参考書・過去問題集も紹介】

工事担任者は、独学でも合格が可能です。

おすすめの勉強法は下記のとおり。

  1. まずはテキストをざっと読む
  2. 過去問集を繰り返し解く
  3. 苦手分野を集中的に勉強

過去問からの出題が多いので、過去問で勉強するのが無難です。

できたら過去問を3周解きましょう。

ちなみに過去問は、電気通信国家試験センターのサイトからもチェックできます。

電気通信技術の基礎は計算問題が多い

AIもDDも「基礎」は計算問題が多いので、過去問の丸暗記が通用しません。

基礎を理解して、計算できるように勉強してください。

AIはほぼ過去問中心

AIはアナログ回線・ISDNなので、ほぼ過去問からしか出題されません。

あまり新しい要素が追加されないからです。

AIこそ過去問をしっかり勉強しましょう。

工事担任者の勉強におすすめのテキスト・参考書・過去問題集

おすすめのテキスト・参考書・過去問題集は下記のとおりです。

基本的にAIの参考書・テキスト・過去問題集は少ないです。

DDを受験する人が多いからです。

工事担任者の勉強時間は3~4ヶ月【総合種と1種は早めにスタート】

勉強期間は3~4ヶ月を見ておきましょう。

特に、下記は難関なので、早めに勉強を始めましょう。

  • 総合通信
  • 第1級アナログ通信
  • 第1級デジタル通信

土日詰め込み型でもいいですが、できれば下記のように勉強するのがおすすめです。

  • 平日1~2時間
  • 土日4~5時間

土日しか勉強しないと、なかなか知識が定着しないから。

短時間でもいいので、毎日コツコツと勉強していきましょう。

スクールや通信講座もあるが独学でOK

お金と時間に余裕がある人は、スクールや通信講座も良いでしょう。

ただし、前述のとおり独学でも合格できるので、そこまでこだわらなくていいかも。

独学のメリットは「自分のペースで勉強できること」ですね。

あなたに合う勉強法をとりましょう。

工事担任者と他の電気通信系の資格と難易度を比較

工事担任者と他の電気通信系の資格と難易度を比較

工事担任者と似ている電気通信系の資格と難易度を比較してみました。

受験する順番などの参考にしてください。

電気通信主任技術者の方が難易度が高い

工事担任者と電気通信主任技術者なら、電気通信主任技術者の方が難易度が高いです。

合格率の違いは下記のとおり。

年度 工事担任者 電気通信主任技術者
令和元年度 35.25% 26.95%
令和2年度 37.6% 28.9%
令和3年度 41.2% 43.6%
令和4年度 30.9% 29.7%

全体的に電気通信主任技術者の合格率が低いのがわかります。

参考:一般財団法人日本データ通信協会電気通信国家試験センター

ちなみに電気通信主任技術者については、電気通信主任技術者の難易度を合格率や過去問から解説【免除あり】にまとめています。

工事担任者と電験の難易度を比較すると電験の方が難しい

工事担任者と電験(電気主任技術者)を比較すると、圧倒的に電験の方が難しいです。

電験は、電気系資格の最難関だからです。

一番簡単な第三種でも、合格率が10%を切る年もあります。

電験については、電気主任技術者・電験試験の難易度や年収!三種二種一種のコツにまとめたので参考にどうぞ。

電気通信工事施工管理技士の方が難しい

令和元年から、電気通信工事施工管理技士という資格が新設されました。

その名のとおり、電気通信工事の施工管理をする資格です。

難易度は、電気通信工事施工管理技士の方が上ですね。

資格 令和3年度の合格率
総合通信 29.7%(第1回と第2回の平均)
1級電気通信工事施工管理技士 17.6%(第一次検定×第二次検定の合格率)
2級電気通信工事施工管理技士 24.5%(第一次検定×第二次検定の合格率)

ちなみに、電気工事施工管理技士については、下記の2記事にまとめています。

電気工事士の方が難しい

工事担任者と電気工事士を比べると、電気工事士の方が難易度が高いですね。

合格率の比較は下記のとおり。

資格 令和3年度の平均合格率
第2級デジタル通信 68.1%
第二種電気工事士 43%(筆記×技能)

ちなみに電気工事士については、電気工事士1種2種の資格難易度や合格率!勉強や技能試験のコツにまとめています。

まとめ【工事担任者の難易度は総合通信や第1級は高め】

まとめ【工事担任者の難易度はAI・DD総合種や1種は高め】

この記事をまとめます。

  • 工事担任者の合格率は、総合通信と第1級アナログ通信・第1級デジタル通信は低め
  • 端末設備の接続のための技術・理論が難関なので、しっかり勉強する
  • 科目免除があるので、着実に合格していきましょう
  • 勉強法は、テキスト→過去問集を繰り返し解く→苦手分野を集中的に勉強
  • 勉強期間は3~4ヶ月を想定しましょう

あなたの試験勉強の参考になればうれしいです!

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