どういう場合に、屋内消火栓の設置する必要があるんだろう?
こういった疑問に答える記事です。
本記事の内容は下記のとおり。
- 屋内消火栓の設置基準
- 屋内消火栓の4種類【場所に適した屋内消火栓を設置】
- 特殊消火設備について【屋内消火栓で足りない場合】
屋内消火栓は、火事が大きくなるのを未然に防ぐためにも重要な設備です。
適切な場所に置かないと、一次対応が遅れてしまいます。
本記事では、屋内消火栓の設置基準や種類を紹介しますので、参考にしてみてください(^^)
目次
屋内消火栓の設置基準や緩和条件
屋内消火栓の設置基準は、下記の表の延べ面積以上の場合は設置が必要です。
- 一般の建物
- 地階・無窓階・4階以上の階
で分けて、表で解説します。
一般の建物の屋内消火栓の設置基準
まずは、一般の建物の設置基準です。
※スマホを横にした方が、見やすいと思います(^^)
木造等 | 耐火構造or準耐火構造+内装制限 | 耐火構造+内装制限 | |
劇場、映画館、演芸場など | 500㎡以上 | 1000㎡以上 | 1500㎡以上 |
公会堂・集会場 | 500㎡以上 | 1000㎡以上 | 1500㎡以上 |
キャバレー、カフェー、ナイトクラブなど | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
遊技場・ダンスホール | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
性風俗関連特殊営業店舗等 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
カラオケボックス、漫画喫茶、ネットカフェ、個室ビデオ等 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
待合、料理店の類 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
飲食店 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
百貨店、マーケットなど店舗又は展示場 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
旅館、ホテル、宿泊所の類 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
寄宿舎、下宿又は共同住宅 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
病院、診療所又は助産所 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
老人短期入所施設等 | 700㎡以上 | 1000㎡以上 | 1000㎡以上 |
老人デイサービスセンター等 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
幼稚園又は特別支援学校 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
学校の類 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
図書館、博物館、美術館の類 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
蒸気浴場、熱気浴場などの公衆浴場 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
上記以外の公衆浴場 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
神社、寺院、協会の類 | 1000㎡以上 | 2000㎡以上 | 3000㎡以上 |
工場又は作業場 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
映画スタジオ又はテレビスタジオ | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
自動車車庫、駐車場 | |||
飛行機又は回転翼航空機の格納庫 | |||
倉庫 | 700㎡以上 | 1400㎡以上 | 2100㎡以上 |
事務所など | 1000㎡以上 | 2000㎡以上 | 3000㎡以上 |
特定複合建物 | |||
その他の複合建物 | |||
地下街 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
準地下街 | |||
重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡など |
地階・無窓階・4階以上の階の屋内消火栓の設置基準
続いて、地階・無窓階・4階以上の階の屋内消火栓の設置基準は、下記のとおり。
※スマホを横にした方が、見やすいと思います(^^)
木造等 | 耐火構造or準耐火構造+内装制限 | 耐火構造+内装制限 | |
劇場、映画館、演芸場など | 100㎡以上 | 200㎡以上 | 300㎡以上 |
公会堂・集会場 | 100㎡以上 | 200㎡以上 | 300㎡以上 |
キャバレー、カフェー、ナイトクラブなど | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
遊技場・ダンスホール | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
性風俗関連特殊営業店舗等 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
カラオケボックス、漫画喫茶、ネットカフェ、個室ビデオ等 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
待合、料理店の類 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
飲食店 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
百貨店、マーケットなど店舗又は展示場 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
旅館、ホテル、宿泊所の類 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
寄宿舎、下宿又は共同住宅 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
病院、診療所又は助産所 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
老人短期入所施設等 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
老人デイサービスセンター等 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
幼稚園又は特別支援学校 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
学校の類 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
図書館、博物館、美術館の類 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
蒸気浴場、熱気浴場などの公衆浴場 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
上記以外の公衆浴場 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
神社、寺院、協会の類 | 200㎡以上 | 400㎡以上 | 600㎡以上 |
工場又は作業場 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
映画スタジオ又はテレビスタジオ | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
自動車車庫、駐車場 | |||
飛行機又は回転翼航空機の格納庫 | |||
倉庫 | 150㎡以上 | 300㎡以上 | 450㎡以上 |
事務所など | 200㎡以上 | 400㎡以上 | 600㎡以上 |
特定複合建物 | |||
その他の複合建物 | |||
地下街 | |||
準地下街 | |||
重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡など |
屋内消火栓の設置基準の緩和条件
条件に合致すれば、屋内消火栓の設置基準が緩和されます。
上記の表からもわかる通り、下記の緩和条件があります。
構造 | 延べ面積×〇倍 |
耐火構造 | 2倍 |
準耐火構造+内装制限 | 2倍 |
耐火構造+内装制限 | 3倍 |
例えば上記の表でもわかるように、
一般の建物 | 木造等 | 耐火構造or準耐火構造+内装制限 | 耐火構造+内装制限 |
劇場、映画館、演芸場など | 500㎡以上 | 1000㎡以上(2倍) | 1500㎡以上(3倍) |
となっていますよね(^^)
火災に強い建物ほど、屋内消火栓の台数が少なくて済みます。
また、
- スプリンクラー
- 水噴霧消火設備
- 不活性ガス消火設備
- 泡消火設備
など、屋内消火栓の代替になる消火設備を設置することで、その範囲内は屋内消火栓が不要になります。
スプリンクラーの設置基準については、スプリンクラーの設置基準を解説【5種類のスプリンクラーの違い】にまとめているので、読んでみてください(^^)
屋内消火栓の4種類【場所に適した屋内消火栓を設置】
屋内消火栓には、下記の4種類があります。
- 1号消火栓
- 簡易操作性1号消火栓
- 広範囲型2号消火栓
- 2号消火栓
4種類の屋内消火栓の違いは、下記の表のとおりです。
1号消火栓 | 簡易操作性1号消火栓 | 広範囲型2号消火栓 | 2号消火栓 | |
水の水平距離 | 25以下 | 25m以下 | 25m以下 | 15m以下 |
放水量/分 | 130㍑以上 | 130㍑以上 | 80㍑以上 | 60㍑以上 |
操作人数 | 2人 | 1人 | 1人 | 1人 |
設置する建物 | 工場、作業場、倉庫、マンションなど | 工場、作業場、倉庫、マンションなど | 工場、作業場、倉庫、マンションなどの防火対象物 | ホテル、病院、社会福祉施設など |
開閉弁の高さ | 1.5m以下 | 1.5m以下 | 1.5m以下 | 1.5m以下 |
1号消火栓は2人で操作しないといけないので、大掛かりです。
それに比べて2号消火栓は、1人で操作ができて放水量も少ないので、高齢者や女性でも操作が可能です。
屋内消火栓を選ぶときは、
- 屋内消火栓を操作する人を想定する
- 建物に合った放水距離にする
といったことを心がけましょう。
特殊消火設備について【屋内消火栓で足りない場合】
屋内消火栓だけでは消化能力が不足する場合は、下記の3つなどで消化能力を補いましょう。
- 水噴霧消火設備
- 不活性ガス消火設備
- 泡消火設備
それぞれ解説しますね(^^)
水噴霧消火設備
水噴霧消火設備はスプリンクラーと似ていますが、霧が出るタイプです。
霧が熱に当たることで水蒸気になり、鎮火作用があります。
地下駐車場や指定可燃物の貯蔵場所などに使われます。
不活性ガス消火設備
圧縮した窒素や二酸化炭素を放出することで、空間の酸素を減らして鎮火します。
くれぐれも人が入らない場所だけに設置しましょう。
※人がいるところに設置すると、窒息する危険性があります。
ボイラー室や電気室などに設置されます。
泡消火設備
大量の泡を放出することで鎮火します。
自動車修理工場や地下駐車場に用いられます。
まとめ【屋内消火栓の設置基準を確認しましょう】
この記事をまとめます。
- 屋内消火栓の設置基準を確認しましょう
- 設置の緩和条件があるので設計の参考に
- 屋内消火栓は4種類あり、場所に適したものを設置しましょう
- 屋内消火栓で足りない場合は特殊消火設備を検討する
屋内消火栓を設置する設計の参考にしてください(^^)
また、火事のときは消火設備以外に、排煙設備も重要です。
排煙設備の設置基準は、排煙設備の設置基準を解説【自然排煙と機械排煙の違いや種類】にまとめているので、読んでみてください(^^)
あなたの設計の参考になればうれしいです!