上下水道部門の技術士って、どんな資格なの?
取得するメリットや、試験の難易度を知りたいな。
あと、他の資格と比べて難しいの?
こういった疑問に答えます。
この記事でわかること
- 上下水道部門の技術士とは
- 資格を取得する3つのメリット
- 上下水道部門の技術士の試験情報
- 試験勉強のコツ
- 他の資格試験との合格率を比較
この記事を読むことで、上下水道部門の技術士について網羅的に理解できます。
資格を取得して手に職をつけたい人は、最後まで読んでみてください。
目次
上下水道部門の技術士とは
そもそも「技術士」とは、高度な科学技術の知識と応用能力を備えた技術者であることを証明する国家資格です。
公益社団法人日本技術士会が主宰しています。
技術士は21部門あり、上下水道部門はその1つです。
技術士の部門
- 機械
- 船舶・海洋
- 航空・宇宙
- 電気電子
- 化学
- 繊維
- 金属
- 資源工学
- 建設
- 上下水道
- 衛生工学
- 農業
- 森林
- 水産
- 経営工学
- 情報工学
- 応用理学
- 生物工学
- 環境
- 原子力・放射線
- 総合技術監理部門
上下水道部門の技術士は、上水道と下水道の専門知識をもつ技術者の資格です。
担当する業務の一例は以下のとおりです。
業務の一例
- 水質管理
- 配管設計
- 排水処理施設の施工や維持管理など
主な就職先
上下水道部門の技術士の主な就職先は、以下のとおりです。
主な就職先
- 官公庁
- 地方自治体
- コンサルティング会社
官公庁や地方自治体の、上下水道に関する部門で働きます。
また「コンサルティング会社」とは、高い専門性で官公庁や地方自治体に上下水道などの設計・施工・運用のコンサルティングを行う仕事です。
コンサルティング会社の業務については、建設コンサルタントをわかりやすく解説【大手ランキングや年収】にまとめています。
ポイント
また、技術士として経験を積んでから独立する人もいます。
独立については、「技術士は役に立たない」と言われる5つの理由【12個のメリットあり】を参考にどうぞ。
上下水道部門の技術士は、就職先の選択肢が広いです。
将来性は明るい
上下水道部門の技術士の将来性は明るいといえます。
なぜなら、上下水道がなくなることは考えにくいからです。
ポイント
新設工事だけでなく、メンテナンスも必要なので、今後も需要が見込めます。
今後も需要がなくらないインフラに関われるため、長く安定して稼ぎたい人は上下水道部門の技術士がおすすめです。
上下水道部門の技術士を取得する3つのメリット
上下水道部門の技術士を取得するメリットは、以下の3つです。
メリット
- 信頼されやすい
- 年収が上がりやすい
- 就職・転職が有利になる
1つずつ解説していきます。
信頼されやすい
上下水道部門での技術士資格は、高度な専門知識とスキルを証明できるので、取引先からの信頼を得やすくなります。
特に、水道設備の設計・施工・運用に関わるプロジェクトにおいて、技術士の品質管理や安全性の知識が必要です。
ポイント
技術者として信頼されるため、上下水道部門での技術士を取得しておくと仕事をしやすいでしょう。
年収が上がりやすい
上下水道部門の技術士を取得することで、年収アップしやすくなります。
サラリーマン全体の平均年収と、技術士の平均年収の比較は以下のとおりです。
年収
- サラリーマン全体の平均年収:461万円
- 技術士:667万円
参考:厚生労働省|賃金構造基本統計調査 都道府県×職種DB/国税庁|II 1年を通じて勤務した給与所得者
サラリーマン全体の平均年収と比較して、200万円以上も年収が高いです。
そのため、資格を取得して年収アップしたい人にも、上下水道部門の技術士はおすすめです。
就職・転職が有利になる
上下水道部門の技術士を取得することで、就職・転職が有利になります。
官公庁や地方自治体は、技術士を採用することで上下水道の設計・施工・運用を任せたいと思っています。
また、コンサルティング会社は、上下水道の技術士がいることで依頼を受けやすくなるでしょう。
そのため、上下水道部門の技術士を取得すると、就職・転職に有利です。
ポイント
さらに、上下水道部門の技術士は建設業の管工事や水道施設の監理技術者になれます。
「監理技術者」を簡単にいうと、現場に配置が必要な責任者のことです。
配置が必要であるため、需要があります。
参考:国土交通省|建設業法における配置技術者となり得る国家資格等一覧
手に職をつけて、就職・転職を有利にしたい人にも、上下水道部門の技術士がおすすめです。
上下水道部門の技術士試験について
ここから、上下水道部門の技術士試験について解説していきます。
試験について
- 合格率や難易度
- 受験資格
- 試験範囲
1つずつ見ていきましょう。
合格率や難易度
近年の合格率は以下のとおりです。
年度 | 第一次試験 | 第二次試験 |
---|---|---|
令和元年 | 50.2% | 12% |
令和2年 | 41.8% | 14.6% |
令和3年 | 31.7% | 13.2% |
令和4年 | 41% | 10.2% |
令和5年 | 46.1% | 10.2% |
平均合格率 | 42.2% | 12% |
過去5年の第一次試験×第二次試験の合格率は約5%です。
合格率がわずか5%なので、上下水道部門の技術士試験は難易度が高いといえるでしょう。
ちなみに、第一次試験はマークシート試験ですが、第二次試験は記述式であるため、第二次試験の合格率が低くなっています。
受験資格
上下水道部門に限らず、技術士の受験資格は以下のとおりです。
受験資格
- 第一次試験:誰でも受験できる
- 第二次試験:第一次試験の合格者や国が指定した教育課程の修了者で所定の実務経験年数がある人
第一次試験は誰でも受験できるため、まずは第一次試験に向けて勉強を始めましょう。
第二次試験を受験するには実務経験が必要なので、まずは第一次試験だけに集中すればOKです。
試験範囲
上下水道部門の試験範囲は以下のとおりです。
第一次試験 ※マークシート択一式 | 基礎科目:科学技術全般にわたる基礎知識 |
適性科目:技術士法第4章の規定の遵守に関する適性 | |
専門科目:上水道及び工業用水道・下水道・水道環境 | |
第二次試験 | 筆記試験:記述式・論文 |
口頭試験:面接 |
くりかえしですが、第二次試験の記述式試験が難関です。
上下水道部門の技術士試験に合格するための勉強法
具体的に、どうやって勉強していけばいいの?
主な勉強方法は以下のとおりです。
勉強方法
- 参考書と過去問題集で勉強する
- スキマ時間はアプリで勉強する
- 通信講座で記述文の添削指導を受ける
- 口頭試験は通信講座で対策する
1つずつ解説していきます。
参考書と過去問題集で勉強する
参考書と過去問題集で勉強することができます。
また、日本技術士会のホームページに過去問題が掲載されています。
特に、過去問を使ってくりかえし勉強するのがおすすめです。
できれば、過去5年分を5周解いてみましょう。
スキマ時間はアプリで勉強する
仕事の休憩や移動中などのスキマ時間では、アプリで勉強するのがおすすめです。
おすすめアプリ
知識の定着に役立つため、インストールしておきましょう。
通信講座で記述文の添削指導を受ける
第二次試験の記述式問題に向けて、通信講座で添削を受けるのがおすすめです。
自分では文章の良し悪しがわからないからです。
添削を受けながら、合格しやすい論文の書き方を身につけていきましょう。
口頭試験は通信講座で対策する
第二次試験の口頭試験も、通信講座で対策するのがおすすめです。
実際に面接の練習をしてもらいましょう。
ポイント
第二次試験の記述式試験に合格した人だけが、口頭試験を受けられます。
まずは記述式試験に集中し、記述式試験に合格してから口頭試験の対策に入ればOKです。
他の資格試験との合格率を比較
他の資格試験と比べると、上下水道部門の技術士試験って難しいの?
上下水道部門の技術士試験と、他の資格試験の合格率を比較してみました。
難易度の参考にしてみてください。
※あくまで合格率での比較です。試験問題の難易度比較ではありませんのでご了承ください。
合格率の比較
- 他部門の技術士試験と比較
- 管工事施工管理技士と比較
- 電験(電気主任技術者)と比較
- 建築士と比較
- RCCMと比較
こちらも1つずつ見ていきましょう。
他部門の技術士試験と比較
技術士の各部門を、合格率が低い順に並べてみました。
令和5年の第一次試験×第二次試験の合格率で計算しています。
部門 | 令和5年の第一次×第二次の合格率 |
---|---|
資源工学 | 1.4% |
応用理学 | 3.3% |
電気電子 | 3.5% |
環境 | 3.7% |
情報工学 | 3.9% |
建設 | 4% |
上下水道 | 4.7% |
水産 | 5% |
農業 | 5.3% |
機械 | 6.4% |
衛生工学 | 6.6% |
森林 | 7.5% |
経営工学 | 7.6% |
原子力・放射線 | 8.2% |
航空・宇宙 | 9.8% |
金属 | 9.9% |
化学 | 12% |
生物工学 | 12.6% |
船舶・海洋 | 13% |
繊維 | 16% |
上下水道部門の技術士試験は、技術士全体の中でも難しい方に入ります。
ちなみに、電気電子部門と建設部門の技術士については、以下の記事を参考にしてみてください。
管工事施工管理技士と比較
「管工事施工管理技士」とは、管工事現場の管理業務を行う国家資格です。
参考:1級・2級管工事施工管理技士は何ができるのか?資格を取得する方法も解説
上下水道部門の技術士と管工事施工管理技士の合格率の比較は、以下のとおりです。
※いずれも過去5年の平均合格率です。
合格率の比較
- 上下水道部門の技術士:約5%
- 1級管工事施工管理技士:約23%
- 2級管工事施工管理技士:約34%
管工事施工管理技士試験と比較すると、上下水道部門の技術士試験は難しいといえるでしょう。
ちなみに、管工事施工管理技士試験については以下の記事にまとめています。
電験(電気主任技術者)と比較
電験(電気主任技術者)とは、事業用電気工作物や自家用電気工作物の保安業務を行える国家資格です。
上下水道部門の技術士と電験の合格率の比較は、以下のとおりです。
※いずれも過去5年の平均合格率です。
合格率の比較
- 上下水道部門の技術士:約5%
- 第一種電気主任技術者:約8%
- 第二種電気主任技術者:約9%
- 第三種電気主任技術者:約31.3%
「電験試験は難関」と言われていますが、合格率は上下水道部門の技術士の方が低いです。
電験試験は、電気主任技術者・電験試験の難易度や年収!三種二種一種のコツを参考にどうぞ。
建築士と比較
建築士試験との合格率の比較は、以下のとおりです。
※いずれも過去5年の平均合格率です。
合格率の比較
- 上下水道部門の技術士:約5%
- 一級建築士:約7%
- 二級建築士:約20%
こちらも、上下水道部門の技術士の方が合格率は低いです。
建築士試験については、以下の記事を参考にどうぞ。
RCCMと比較
RCCM(Registered Civil Engineering Consulting Manager)は、土木工事の技術・知識を証明する民間資格です。
建設コンサルタンツ協会が主宰しています。
RCCM試験との合格率の比較は、以下のとおりです。
※いずれも過去5年の平均合格率です。
合格率の比較
- 上下水道部門の技術士:約5%
- RCCM:約43%
こちらも上下水道部門の技術士試験の難しさがわかります。
上下水道部門の技術士を受験する場合は、しっかりと勉強しておきましょう。
まとめ|上下水道部門の技術士を取得してみよう
この記事をまとめます。
まとめ
- 上下水道部門の技術士は上水道と下水道の専門知識をもつ技術者の資格
- 過去5年の第一次試験×第二次試験の合格率は約5%
- 特に、第二次試験の記述式試験が難しい
- 参考書や過去問で勉強しつつ、記述文の添削を受けるのがおすすめ
- 他の資格を比較しても、上下水道部門の技術士は合格率が低い
上下水道部門の技術士に興味がある人は、さっそく第一次試験の勉強を始めてみましょう。
まずは、参考書や過去問を参考に勉強するのがおすすめです。
ちなみに、上下水道工事に関する資格の一覧を、上下水道工事の資格一覧7選と試験の難易度|実務経験なしで受験できる資格アリにまとめています。
上下水道に関する仕事をしたい人は、資格取得の参考にしてみてください。