排水管の勾配の付け方や基準【工事の4つの注意点も解説します】

排水管の勾配の付け方や基準【工事の4つの注意点も解説します】
考える男性
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排水管の勾配の付け方を知りたいな。

どういう基準で、どういう計算をするんだっけ?

あと、排水管工事の注意点も確認したい。

こういった疑問に答える記事です。

この記事でわかることは下記のとおり。

  • 排水管の勾配の付け方がわかる
  • 排水管の工事の注意点がわかる

 

排水管の勾配には基準があり、それを守らないといけません。

勾配不良があると、うまく水が流れず臭いの原因になってしまいます。

仕事の参考にしてみてください。

また、排水管工事の注意点も紹介しますね。

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排水管の勾配の付け方や基準

排水管の勾配の付け方や基準

排水管の勾配の付け方について、下記の項目を解説します。

  1. 汚水管の勾配
  2. 雨水排水管や合流管の勾配

 

1つずつ解説しますね。

 

①汚水管の勾配

汚水管の勾配基準は、下記の表のとおりです。

排水人口 管径 勾配
150人未満 100mm以上 2/100以上
150人以上 300人未満 125mm以上 1.7/100以上
300人以上 500人未満 150mm以上 1.5/100以上
500人以上 200mm以上 1.2/100以上

ただし例外として、1つの建物から排除される汚水の一部を排除する排水管で、管路延長が3m以下の場合は最小管径を75mm・勾配1/300以上にすることが可能です。

出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版

 

排水横管の管径と勾配の基準

排水横管(横向きに設置する管)の管径と最小勾配の関係は、下記の表のとおりです。

管径 最小勾配
65mm以下 1/50
75mm,100mm 1/100
125mm 1/150
150mm 1/200
200mm 1/200
250mm 1/200
300mm 1/200

出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版

 

【そもそも】排水管の勾配計算の仕方

考える男性
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そもそも、勾配の計算ってどうやってやるの?

例えば、2/100とは「100cmで2cm下がる」という意味です。

事例として、340cmで何cm下げればいいかの計算式は下記です。

2:100=x:340

100x=2×340

x=2×340÷100

x=6.8cm

 

xを計算式に当てはめると、簡単に計算できます。

 

雨水排水管や合流管の勾配

続いて、雨水排水管や合流管の勾配基準は、下記の表のとおりです。

排水面積 管径 勾配
200㎡未満 100mm以上 2/100以上
200㎡以上 400㎡未満 125mm以上 1.7/100以上
400㎡以上 600㎡未満 150mm以上 1.5/100以上
600㎡以上 1500㎡未満 200mm以上 1.2/100以上
1500㎡以上 250mm以上 1/100以上

ただし、1つの敷地から排水される管路延長が3m以下なら、最小管径を75mm・勾配3/100以上にできます。

出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版

 

雨水排水管の縦管の管径と最大屋根面積

雨水排水管の縦管(縦に設置する管)の管径と、屋根面積(水平)の上限の関係は、下記の表のとおりです。

管径 許容される最大の屋根面積(水平)
50mm 67㎡
65mm 135㎡
75mm 197㎡
100mm 425㎡
125mm 770㎡
150mm 1250㎡
200mm 2700㎡

 

管内流速は0.6~1.5m/s【条件外の場合は流速基準と勾配1/100以上】

排水管内の流速は、0.6~1.5m/秒に収めます。

しかし、仕方ない場合は上限3m/秒まで可能です。

下記を満たせない場合もあります。

  • 汚水管の勾配基準
  • 雨水排水管や合流管の勾配基準

 

その場合は下記を守りましょう。

  • 排水管内の流速0.6~1.5m/秒
  • 勾配1/100以上

 

排水管工事の4つの注意点

排水管工事の4つの注意点

勾配以外の注意点は下記のとおりです。

  1. 土被りの基準を守る
  2. 建物に合う排水管の種類を選ぶ
  3. 排水管の保護対策を講じる
  4. トラップを設置する

 

1つずつ解説します。

 

①土被りの基準

排水管を地中に埋めるときは、最低でも20cm以上の深さに埋めることが定められています。

ただし、寒冷地は地表に近すぎると凍結の恐れがあるため、さらに深い位置に排水管を埋める必要があります。

北海道の基準は下記の表のとおり。

地区 凍結しない深さ 土被り
道央 60~80cm 30~80cm
道南 20~60cm 30~55cm
道北 50~90cm 40~70cm
道東 50~120cm 50~80cm

日本で一番寒い北海道の基準値を知っておけば、かなり参考になるかと。

 

建物に合う排水管の種類を選ぶ

排水管の種類は、下記が良いですね。

  • 硬質塩化ビニール管:宅地によく使われる
  • 排水用硬質塩化ビニールライニング鋼管:新築マンションに使われる
  • 耐火二層管:高層ビル・タワーマンションに使われる

 

建物の用途に合わせて、排水管の種類を選びましょう。

 

排水管の保護対策

外圧によって排水管が破損しないよう、保護対策を行いましょう。

硬質塩化ビニール管は、5cmくらい砂の基礎を造りましょう。

また、地表から浅い部分に埋める場合は、下記を使うことも検討してください。

  • さや管
  • 耐圧管

 

トラップを設置する

悪臭が上がってくるのを防ぐために、排水管にはトラップを設置しましょう。

ただし、洗面台などの器具自体にトラップがある場合は、排水管のトラップは不要です。

※二重トラップは、流れが悪くなるため。

また、トイレはトラップを造らないようにしましょう。

 

器具別のトラップの口径

器具別のトラップの口径は、下記の表のとおりです。

器具 トラップの最小口径
大便器 75mm
調理流し 40mm
浴槽(洋風) 40mm
洗濯流し 40mm
洗面台 30mm
ディスポーザー 30mm

こちらもチェックしておきましょう。

出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版

 

まとめ【排水管の勾配不良にならないよう、基準を確認しましょう】

まとめ【排水管の勾配不良にならないよう、基準を確認しましょう】

この記事をまとめます。

  • 汚水管・雨水排水管・合流管の勾配基準を守って設計する
  • 管内流速は0.6~1.5m/sが基本です
  • 土被りの基準を守りましょう
  • 建物に合う排水管の種類を選ぶ
  • 排水管の保護対策を講じる
  • トラップを設置する【ただしトイレは不要】

 

あなたの仕事の参考になればうれしいです。

 

ちなみに給排水設備の図面記号を、よく使う給排水設備の図面記号49選にまとめたので、こちらも業務の参考にどうぞ。

また、排水設備工事の資格は「排水設備工事責任技術者」がありますが、詳細を排水設備工事責任技術者の難易度を合格率から分析【勉強方法も解説】にまとめています。

あなたのお役に立てばうれしいです!

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