どういう基準で、どういう計算をするんだっけ?
あと、排水管工事の注意点も確認したい。
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- 排水管の勾配の付け方がわかる
- 排水管の工事の注意点がわかる
排水管の勾配には基準があり、それを守らないといけません。
勾配不良があると、うまく水が流れず臭いの原因になってしまいます。
仕事の参考にしてみてください。
また、排水管工事の注意点も紹介しますね。
目次
排水管の勾配の付け方や基準
排水管の勾配の付け方について、下記の項目を解説します。
- 汚水管の勾配
- 雨水排水管や合流管の勾配
1つずつ解説しますね。
①汚水管の勾配
汚水管の勾配基準は、下記の表のとおりです。
排水人口 | 管径 | 勾配 |
150人未満 | 100mm以上 | 2/100以上 |
150人以上 300人未満 | 125mm以上 | 1.7/100以上 |
300人以上 500人未満 | 150mm以上 | 1.5/100以上 |
500人以上 | 200mm以上 | 1.2/100以上 |
ただし例外として、1つの建物から排除される汚水の一部を排除する排水管で、管路延長が3m以下の場合は最小管径を75mm・勾配1/300以上にすることが可能です。
出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版」
排水横管の管径と勾配の基準
排水横管(横向きに設置する管)の管径と最小勾配の関係は、下記の表のとおりです。
管径 | 最小勾配 |
65mm以下 | 1/50 |
75mm,100mm | 1/100 |
125mm | 1/150 |
150mm | 1/200 |
200mm | 1/200 |
250mm | 1/200 |
300mm | 1/200 |
出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版」
【そもそも】排水管の勾配計算の仕方
例えば、2/100とは「100cmで2cm下がる」という意味です。
事例として、340cmで何cm下げればいいかの計算式は下記です。
2:100=x:340
100x=2×340
x=2×340÷100
x=6.8cm
xを計算式に当てはめると、簡単に計算できます。
雨水排水管や合流管の勾配
続いて、雨水排水管や合流管の勾配基準は、下記の表のとおりです。
排水面積 | 管径 | 勾配 |
200㎡未満 | 100mm以上 | 2/100以上 |
200㎡以上 400㎡未満 | 125mm以上 | 1.7/100以上 |
400㎡以上 600㎡未満 | 150mm以上 | 1.5/100以上 |
600㎡以上 1500㎡未満 | 200mm以上 | 1.2/100以上 |
1500㎡以上 | 250mm以上 | 1/100以上 |
ただし、1つの敷地から排水される管路延長が3m以下なら、最小管径を75mm・勾配3/100以上にできます。
出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版」
雨水排水管の縦管の管径と最大屋根面積
雨水排水管の縦管(縦に設置する管)の管径と、屋根面積(水平)の上限の関係は、下記の表のとおりです。
管径 | 許容される最大の屋根面積(水平) |
50mm | 67㎡ |
65mm | 135㎡ |
75mm | 197㎡ |
100mm | 425㎡ |
125mm | 770㎡ |
150mm | 1250㎡ |
200mm | 2700㎡ |
管内流速は0.6~1.5m/s【条件外の場合は流速基準と勾配1/100以上】
排水管内の流速は、0.6~1.5m/秒に収めます。
しかし、仕方ない場合は上限3m/秒まで可能です。
下記を満たせない場合もあります。
- 汚水管の勾配基準
- 雨水排水管や合流管の勾配基準
その場合は下記を守りましょう。
- 排水管内の流速0.6~1.5m/秒
- 勾配1/100以上
排水管工事の4つの注意点
勾配以外の注意点は下記のとおりです。
- 土被りの基準を守る
- 建物に合う排水管の種類を選ぶ
- 排水管の保護対策を講じる
- トラップを設置する
1つずつ解説します。
①土被りの基準
排水管を地中に埋めるときは、最低でも20cm以上の深さに埋めることが定められています。
ただし、寒冷地は地表に近すぎると凍結の恐れがあるため、さらに深い位置に排水管を埋める必要があります。
北海道の基準は下記の表のとおり。
地区 | 凍結しない深さ | 土被り |
道央 | 60~80cm | 30~80cm |
道南 | 20~60cm | 30~55cm |
道北 | 50~90cm | 40~70cm |
道東 | 50~120cm | 50~80cm |
日本で一番寒い北海道の基準値を知っておけば、かなり参考になるかと。
建物に合う排水管の種類を選ぶ
排水管の種類は、下記が良いですね。
- 硬質塩化ビニール管:宅地によく使われる
- 排水用硬質塩化ビニールライニング鋼管:新築マンションに使われる
- 耐火二層管:高層ビル・タワーマンションに使われる
建物の用途に合わせて、排水管の種類を選びましょう。
排水管の保護対策
外圧によって排水管が破損しないよう、保護対策を行いましょう。
硬質塩化ビニール管は、5cmくらい砂の基礎を造りましょう。
また、地表から浅い部分に埋める場合は、下記を使うことも検討してください。
- さや管
- 耐圧管
トラップを設置する
悪臭が上がってくるのを防ぐために、排水管にはトラップを設置しましょう。
ただし、洗面台などの器具自体にトラップがある場合は、排水管のトラップは不要です。
※二重トラップは、流れが悪くなるため。
また、トイレはトラップを造らないようにしましょう。
器具別のトラップの口径
器具別のトラップの口径は、下記の表のとおりです。
器具 | トラップの最小口径 |
大便器 | 75mm |
調理流し | 40mm |
浴槽(洋風) | 40mm |
洗濯流し | 40mm |
洗面台 | 30mm |
ディスポーザー | 30mm |
こちらもチェックしておきましょう。
出典:公益社団法人日本下水道協会「下水道排水設備指針と解説2016年版」
まとめ【排水管の勾配不良にならないよう、基準を確認しましょう】
この記事をまとめます。
- 汚水管・雨水排水管・合流管の勾配基準を守って設計する
- 管内流速は0.6~1.5m/sが基本です
- 土被りの基準を守りましょう
- 建物に合う排水管の種類を選ぶ
- 排水管の保護対策を講じる
- トラップを設置する【ただしトイレは不要】
あなたの仕事の参考になればうれしいです。
ちなみに給排水設備の図面記号を、よく使う給排水設備の図面記号49選にまとめたので、こちらも業務の参考にどうぞ。
また、排水設備工事の資格は「排水設備工事責任技術者」がありますが、詳細を排水設備工事責任技術者の難易度を合格率から分析【勉強方法も解説】にまとめています。
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