設計の仕事に興味があるんだよね。
何か必要な資格とかあるのかな?
あと、将来性とかは大丈夫?
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- 設備設計の仕事内容がわかる
- 設備設計に必要な資格がわかる
- 設備設計に求めれられる知識やスキルがわかる
- 設備設計の年収がわかる
- 設備設計の将来性がわかる
私たち「ワット・コンサルティング」は、建設業の技術者派遣の会社です。
この記事では、設備設計の仕事内容について解説します。
設備設計は将来性があるため、これから目指すのはとても良いことだと思います。
就職・転職するには資格があった方がいいので、資格の勉強も進めていきましょう。
設備設計の仕事の全体像をつかみやすいと思うので、最後まで読んでみてください!
目次
設備設計とは
「設備設計」とは、建築物の設備を設計することです。
「建築物の設備」とは、下記のようなものがあります。
- 電気
- 空調
- 給排水
- 昇降機
- 排煙設備
- 上下水道処理設備
- 電気通信設備
- ファクトリーオートメーション(工場設備)
人体に危険がなく快適に過ごせる空間設計や、低コストで使える設備を設計することが求められます。
意匠設計・構造設計・設備設計の違い
そもそも「設計」には、下記の3種類があります。
- 意匠設計:建築物の見た目の設計
- 構造設計:耐久力のある建築物にする設計
- 設備設計:電気や配管など建築物の設備の設計
これはよく「人の体」に例えられます。
- 意匠設計:人の見た目
- 構造設計:骨格や筋肉
- 設備設計:内蔵や血管
見た目が良く、強い構造の建物ができても、電気・ガス・水道などが通っていないと使えませんよね。
人が建物を使うのに必要な設備を造るのが、設備設計の仕事です。
設備設計の仕事内容【業務の流れを解説】
具体的な仕事内容の流れは下記のとおりです。
- 顧客のヒアリング
- 企画・基本設計
- 実地設計
- 積算・見積もり
- 確認申請
- 工事監理
- 竣工検査
- 運用・保守
- 改修工事
1つずつ解説しますね。
①顧客のヒアリング
設備を造るためには、まず顧客の要望を聞く必要があります。
例えば、住宅の設備設計であれば下記のようなイメージ。
- 照明はどこに設置するか→電気設備の設計
- 水道はどこに設置するか→給排水設備の設計
- どんな空調を設置するか→空調設備の設計
顧客の要望をもとに設計を進めていきます。
②企画・基本設計
ヒアリングが終わったら、おおまかな設計をしていきます。
顧客は設備の専門家ではないので、「こんな設備を導入してみませんか?」という提案も必要です。
下記のように、ヒアリング結果をもとに顧客の要望を満たせそうなアイデアを企画・提案します。
- 床暖房を入れる
- 照明をLEDにする
- 太陽光パネルを設置する
1つずつ顧客の合意をもらいながら、大枠の設計を進めていくイメージです。
③実地設計(詳細設計のこと)
大枠の設計が終わったら、細かい部分の設計に入ります。
意匠設計や構造設計の人とも相談しながら、細かい部分の設計が必要です。
- ここに配線を通したいけど大丈夫か?
- ここにエアコンの通気口を開けたいけど躯体は大丈夫か?
- ここに水道を設置するためには、どのルートで給水管を引っ張ってくるか?
細かい部分の設計図がないと現場作業ができないため、詳細に図面にしていきます。
④積算・見積もり
詳細な図面がある程度できたら、どれくらいの費用がかかるか計算していきます。
当然ながら、会社に利益が出るように見積もりを作る必要があり、これを「積算」といいます。
利益を確保しながら、顧客の予算内で収めるための試行錯誤も必要です。
⑤確認申請
図面が完成して顧客の合意がとれたら、確認申請を行います。
建築物は勝手に建てていいものではなく、行政の許可が必要です。
確認申請には図面が必要なので、作成した図面をもとに確認申請を進めます。
⑥工事監理
確認申請が終わったら、いよいよ工事スタートです。
「工事監理」とは、図面どおりに工事が進んでいるか監督すること。
図面と現場が違うとクレームにもつながるため、現場作業員とともにチェックしながら工事を進めていきます。
実際に工事作業を行うことはありませんが、現場に出向いてチェックする必要があります。
⑦竣工検査
「竣工検査」とは、完成した建築物に問題がないか検査することです。
- 給気・排気に問題はないか
- きちんと電気が通っているか
- 給水・排水は問題なくできているか
- インターネットが正常につながるか
こうした検査を経て、ようやく顧客に引き渡しができます。
⑧運用・保守
設備を問題なく使うためにも、運用・保守が必要です。
- 煙感知器の動作確認
- ガス漏れが起きていないか検査
- 給水管内がサビていないか検査
設備が正常に作動しないと、人体に影響が出てしまうこともあるため、しっかりした運用・保守が求められます。
⑨改修工事
設備が壊れた場合は、改修工事が必要です。
設備は急に壊れることもあれば、経年劣化で壊れていくこともあります。
大きな改修工事を行う際は設備設計が必要になるため、改修の設計をしていきます。
設備設計のやりがい3選
主なやりがいは下記の3つです。
- お客様に感謝される
- 資格取得でスキルアップを実感できる
- 経験を積むほど転職しやすくなり、年収も上がりやすい
結論、やりがいが大きい仕事なので、興味があればぜひとも挑戦してみてください。
※資格については後述します。
設備設計の仕事は激務なのか【今はそこまで忙しくない】
忙しすぎる仕事だと不安だなぁ…
ひと昔前は激務なところもありましたが、最近はそこまで激務ではありません。
設備設計の業界もIT化が進んでいるからです。
ただし、期限が近い仕事や、複数の案件を同時進行する場合はどうしても忙しくなることはあります。
どうしても激務を避けたい場合は、転職先候補の企業をよく分析して、あまり忙しくない会社から始めてみましょう。
※設備設計のきついところは、設備設計のきついところ4選【そこまで激務じゃない。やりがいも解説】にまとめてます。
設備設計の資格8選
代表的な資格は下記の8つです。
- 建築設備士
- 設備設計一級建築士
- 建築士
- 管工事施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 電気通信工事施工管理技士
- 電気主任技術者
- 技術士
1つずつ解説します。
※ちなみに、未経験から受験できるのは二級建築士・電気主任技術者・技術士の3つです。詳しくは下記の記事を参考にどうぞ。
建築設備士【建築士に設備設計のアドバイスを行う資格】
建築設備の専門資格で、建築士に設備設計のアドバイスを行います。
設備設計や工事監理で建築設備士がアドバイスした場合は、確認申請書類や工事完了届にその旨を記載する必要があります。
建築士の受験資格も与えられるため、建築設備の設計をしたい人はぜひとも取得したい資格です。
建築設備士については、下記の記事にまとめたので参考にどうぞ。
設備設計一級建築士【設備設計に特化した一級建築士】
設備設計一級建築士は、3階以上で床面積5000㎡超の建築物の設備設計や適合性の確認を行う国家資格です。
一級建築士で5年以上、設備設計の実務経験がないと受験すらできません。
まずは建築士を取得し、いずれ設備設計一級建築士を目指すのが良いでしょう。
設備設計一級建築士の詳細は、設備設計一級建築士の難易度を合格率や受験資格から分析してみたにまとめてます。
建築士【建築物全般の設計知識をもつ資格】
建築士は、建築物全般の設計知識を証明できる国家資格です。
一定以上の建築物の設計は、建築士資格をもつ人しかできません。
設備設計に有効な建築士資格は、一級建築士と二級建築士です。
まずは二級建築士から取得して、いずれ一級建築士を目指しましょう。
それぞれの資格の詳細や、取得するコツは下記の記事にまとめてます。
管工事施工管理技士【配管工事の工事監理の資格】
給排水設備や空調設備の配管工事の工事監理を行うのが、管工事施工管理技士です。
1級と2級があり、担当できる工事の規模が違います。
担当できる工事規模 | |
1級 | 下請に出す工事の総額が4000万円以上建築一式工事の総額が6000万円以上の工事を担当できる
※監理技術者になれる |
2級 | 下請に出す工事の総額が4000万円未満建築一式工事の総額が6000万円未満の工事を担当できる
※主任技術者になれる |
受験には実務経験が必要なので、まずは管工事施工管理の仕事に転職して経験を積みましょう。
管工事施工管理技士の詳細は、下記の記事を参考にまとめてます。
電気工事施工管理技士【電気工事の工事監理の資格】
電気工事の工事管理を行うのが電気工事施工管理技士です。
特に電気工事施工管理技士は需要があるので、資格を取得すると年収が上がったり、転職が有利になったりします。
ただし、管工事施工管理技士と同じく、受験には実務経験が必要です。
電気工事施工管理技士の詳細は、下記の記事を参考にどうぞ。
電気通信工事施工管理技士【通信設備の工事監理の資格】
電気通信工事とは、下記の7種類を指します。
- LAN工事(電気通信線路設備工事)
- 電話工事(電気通信機械設置工事)
- 弱電設備の工事(情報通信設備工事)
- テレビ共聴放送設備工事
- 放送機械設備工事
- 携帯電話基地局の工事
- 情報制御設備工事
これらの工事監理を行うのが、電気通信工事施工管理技士です。
電気通信工事は範囲が広いので、電気通信工事の7つの仕事内容【向いてる人の特徴と未経験で転職する方法】も参考にどうぞ。
また、電気通信工事施工管理技士の資格については、下記の2記事にまとめてます。
※こちらも受験には実務経験が必要です。
電気主任技術者【電気設備の保安業務を行う資格】
電気設備の保安業務を行うのが、電気主任技術者です。
誰でも受験できますが、試験の難易度はかなり高いです。
もっとも下の第3種でも、合格率は10%くらいしかありません。
電気主任技術者は難関試験なので、資格を取得できれば転職はかなり有利になります。
資格の詳細は、電気主任技術者・電験試験の難易度や年収!三種二種一種のコツにまとめたので参考にしてみてください。
技術士【機械・建設・電気・上下水道などの科学技術の専門家】
技術士は、科学技術の高度な知識や応用能力を証明できる国家資格です。
21のジャンルに分かれていますが、下記は設備設計に役立ちます。
- 機械
- 建設
- 電気
- 上下水道など
技術士があると入札が有利になったり、現場の責任者になれるため、資格を取得すると転職が有利になります。
試験は誰でも受験できるので、興味があれば挑戦してみてください。
技術士の詳細は、「技術士は役に立たない」と言われる5つの理由【12個のメリットあり】にまとめています。
設備設計に求めれられる知識やスキル5選
特に求められる知識やスキルは下記の5つです。
- 設備の知識
- 調整力
- 空間把握能力
- 危険予測の能力
- CADスキル
1つずつ解説します。
設備の知識
当然ですが、設備の知識が必要です。
近年は新しい設備が次々できているので、新しい設備の情報も勉強していく必要があります。
どんな仕事でも継続的な勉強は必要ですが、設備設計も勉強して知識をつけるのが重要です。
調整力
下記のような人たちと調整が必要なので、調整力はあった方がいいでしょう。
- 意匠設計
- 構造設計
- 現場技術者
前述のとおり、下記のような交渉や調整が必要です。
- ここに配線を通したいけど大丈夫か?
- ここにエアコンの通気口を開けたいけど躯体は大丈夫か?
- ここに水道を設置するためには、どのルートで給水管を引っ張ってくるか?
設備設計は各部門と連携して仕事を進めるため、調整力が必要です。
空間把握能力
建築物のスペースをうまく使って設備を設置していく必要があるため、空間把握能力も必要です。
図面を見ながら完成形が頭に浮かぶと、ミスも少なくなります。
危険予測の能力
設備は人体に危険を及ぼすこともあるため、危険予測能力が必須です。
- 漏電しないか
- ガス漏れしないか
- 給気できなくならないか
いざ事故が起きてしまってからでは遅いです。
心配しすぎなくらい危険予測をすることが重要です。
CADスキル
図面を書くときは「CAD」という設計ソフトを使います。
なので、CAD操作に慣れておく必要があるでしょう。
代表的なCADソフトは、Q4.CADソフトってどんな種類があるの?にまとめたので参考にどうぞ。
設備設計に向いている人の特徴
向いている人の特徴は下記のとおりです。
- 数字に強い人
- 建築が好きな人
- 勉強を継続できる人
- 縁の下の力もちタイプ
- 新しい情報に敏感な人
- コミュニケーションスキルが高い人
4つ以上に当てはまれば設備設計に向いていると思うので、ぜひとも挑戦してみましょう。
設備設計の年収【たくさん稼ぐ人もいる】
勤める会社の規模や、保有資格にもよりますが、平均年収は400万~500万円くらいです。
ただし、スキルアップしていくと年収800万円以上稼ぐ人もいますよ。
設備設計で年収アップするコツは下記の3つです。
- 経験を積む
- 資格を取得する
- 大手に転職する
基本的には大手の方が年収が高いです。
ただし、大手は人気があるため採用倍率が高め。
経験を積んで、建築設備士や設備設計一級建築士の資格を取得すると採用されやすくなります。
未経験からいきなり大手に転職するのは難しいので、1つずつステップアップしていきましょう。
設備設計の将来性は明るい
結論、将来性はかなり明るいので安心してください。
なぜなら、設備設計は新しい技術が多く使われているから。
時代にあった新しいツールが登場しやすいため、時代の変化に対応できて将来性があるといえるでしょう。
現代では、下記のようなツールが注目されています。
- LED
- AIが搭載された設備
- ZEH(ゼロエネルギーハウス)
- ZEB(ネットゼロエネルギービル)
- 5G・6Gなど高速インターネット回線
建築物省エネ法もあるため、設備設計は時代の追い風を受けています。
参考:建築物省エネ法の改正案!中規模建築物は届出義務から適合可否へ
なので、設備設計の将来性は問題なしです。
まとめ【設備設計の仕事内容を知って挑戦してみよう】
設備設計に挑戦してみたい人は、資格取得から考えてみましょう。
未経験でも挑戦できる資格は下記の3つです。
- 二級建築士
- 電気主任技術者
- 技術士
3つの資格の詳細は下記の記事を参考にどうぞ。
あなたの就職・転職の参考になればうれしいです!